この作品で泣けるとは思わなかった。
原田マハの作品は、「でーれーガールズ」と「楽園のカンヴァス」以来。
まさか彼女が政治の世界を描くとは思わなかった。
野党の党首だった相馬凛子。
政界再編で初の女性首相になった。
夫の日和は財閥の次男で鳥類の研究をしていた。
護国寺の古い洋館に住む。
妻の首相就任で、彼の環境は大きく変化した。
***** **** ***** ****
作品は、夫である日和の日記で進む。
凛子との出会いが途中で紹介されているところは、構成の上手さが光る。
日和の兄、多和が凛子には何かと批判的。
その反面、母の崇子が凛子を理解し、援護する場面は多くの読者が泣いたはず。
脇役もいい存在感を出している。
政策秘書の島崎は、後に衆院選に立候補し当選。
日和担当の富士宮は不倫して妊娠。
辞表を提出するが、凛子が彼女を引き止める。
この場面もなかなか泣ける。
ストーリーが、原久郎や阿部を含めて「いい人」ばかりなこと。
表現ではなく「説明」で終わらせている点はマイナス。
しかし、政治を扱ったこんな作品があっていい。
現在のファーストレディーで「家庭内野党」の安倍昭恵。
彼女が読んだらどんな感想を語るか聞きたい。
現実の政治はどうだろう。
福島第一原発事故が起きても、原発再稼動ありきの政権。
この作品のようにドラマとして泣ける要素はあるのだろうか。
***********************
関連記事
『総理の夫』 原田マハ (実業之日本社)
『総理の夫』原田マハ
原田マハ『総理の夫』
***********************
*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。
【関連する記事】