あまりにも有名な作品を改めて読んでみた。
シラクスの王ディオニスは人を信じていなかった。
彼の人間不信は多くの人を殺すという結果をもたらした。
怒ったメロスは王の兵士に捕縛される。
親友のセリヌンティウスを身代わりに、メロスは3日間の猶予を得る。
妹の結婚式に出るために。
途中、川の氾濫や山賊の襲撃などで時間を費やしたメロス。
果たしてセリヌンティウスの処刑までに間に合うのか。
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今回読んだのは、昭和47年に出た新潮文庫。
こうした古本があるおかげで、有名な作品を再読できる。
人は、誰でも善なる心を持っている。
それを太宰は言いたかったのではないか。
ところであなたは、処刑されるかもしれない条件で身代わりになる友人を持っているか。
また、自分が身代わりになることができるか?
人間不信の王を批判できるほど、人を信頼しているか?
あなたの中に、ディオニスが一部でも存在していないだろうか。
まだある。
自分が少しでも人を信頼していなかったことを、正直に言えるか?
「殴ってくれ」と自分から言える人間だろうか?
この作品をただ「偽善的」「わざとらしい」と批判することはたやすい。
しかし、その批判者はどれだけ素晴らしい人物なのか、それを問いたい。
太宰が自殺したことは有名。
人の善を信じる彼だからこそ、行き詰まりを感じたのだろうか。
矛盾ということも言えるが、自殺が必然だったようにも感じる。
なお、この作品は著作権切れのため青空文庫で読むことができる。
再読したい方はどうぞ。
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