2015年03月13日

「シフォン・リボン・シフォン」近藤史恵

田舎町の寂れた商店街にできた下着の店。
この店に関わる人たちを描いた連作短編集。

   黄色と白

第一話

主人公は母親の介護に追われる娘の佐菜子。
大学を出たものの、背骨骨折の母親を放り出せずにいる。

そんな彼女が見たのは、本屋の跡にできた下着の店シフォン・リボン・シフォン。
呪縛から解き放たれる佐菜子の表現が秀逸。

第二話

均は米穀店を経営していた。
この店の先行きは暗いが、贅沢しなければ生活には困らない。

息子の篤紀が、新しくできた下着の店に出入りしているという噂を聞く。
確かに篤紀はその店に通っているようだった。

第三話

このエピソードの主人公は店主の水橋かなえ。
教師一族の家に生まれた彼女だったが、東京で出版社勤務を選ぶ。

以前から下着に興味のあった彼女。
苦労の末店を持つが、乳ガンと診断される。

手術の後、今度は母親が倒れる。
東京の店を人に任せ、水橋は故郷で小さな店を開くことを決意する。

第四話

店にやって来た老婦人。
彼女は「郷森の市原」と呼ばれる大きな家の奥様だという。
しかし、その実態は・・・

こういう人、日本各地に結構な数いるんだろうなあ。
こんな家に嫁いだ女性は大変だ。

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人は、思いもよらないことで挫折する。
しかし、予想外のことで解決もする。

さすが近藤。人をよく描けている。
しかも、下着ということできれいな部分だけではない。
介護や女装など踏み込んだ内容になっている。

特に乳ガンの元患者でも下着が必要という内容には感心した。
当たり前だが、こうしたことを描けるのは作者が女性であることが大きい。
しかも、近藤の視線は鋭い。

ところで、この本の読者は性別で感じ方が違うのだろうか。
違うとしたら、どう違うのか気になる。

正直に書くと、この本は読むのに一度挫折している。
それは、第一話の佐菜子が抑圧されている内容に耐えられなかったから。
しかし、彼女はそれを打破した。

現実の厳しさを描きながら、どこか希望がある作品を読者に提供する。
近藤は、ただものではない。

こうした作品を出し続ける限り、読者は彼女を支持し続けるはずだ。
今後の作品にも注目したい。

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