死に場所を求めていた彼が、そこで見たものは。
失意の弓成は、沖縄行きの船に乗る。
体調不良の彼を、現地で教師をしていた男性が救う。
伊良部島に住んだ弓成。そこから沖縄本島へ。
沖縄戦の話を聞く。
琉球大の助教授が、アメリカ公文書館で密約の証拠を見つける。
日米間の密約は、やはり存在した。
**** ***** **** *****
3巻まで読んだ読者は、沖縄の人々の声が描かれていないことに気がつくはず。
作者の山崎は、この4巻でそれを描いた。
沖縄問題は霞ヶ関や永田町で起きているわけではない。
現場となった沖縄こそ大切。山崎の訴えがよくわかる部分だ。
記者を辞めた弓成も、そのことに気がつく。
「いつまで戦争について語るのか?」という疑問が若い人にはあるようだ。
この作品を読んだ後でもそうした考えには変化がないのか。
ガラス工芸に汗を流す女性ミチの生い立ちには涙が出た。
戦争で生まれた混血児については以前、以下の記事に書いた。
知られざる戦争の悲劇、ライダイハンとブイドイ
山崎は亡くなった。
彼女の願いを、残された我々はどう受け継ぐのか。
政府の「無い」は信用できない。
薬害エイズ問題では、「資料は見つからない」と厚生省では言っていた。
菅直人厚相が指示を出した後、何故か見つかった。
鉄の暴風、チビリガマ、ひめゆり、鉄血勤皇隊。
米兵による少女暴行事件、 沖縄国際大学米軍ヘリコプター墜落事件。
弓成が沖縄で聞いたことは、そのまま山崎が取材中耳にしたことのはず。
そして普天間基地移設問題。
何度でも書く。沖縄の基地問題は今のこと。
過去のことではない。
以下の記述が、特に印象に残る。
「沖縄を知れば知るほど、この国の歪みが見えてくる。それにもっと多くの本土の国民が気づき、声を上げなければならないのだ」
(文庫4巻P289より引用)
山崎の残した宿題は重い
基地問題がある限り、この作品の価値は失われない
それは、とても残念なことでもある
*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。
【関連する記事】

