2014年10月14日

「空飛ぶ広報室」有川浩

有川が航空自衛隊広報を描く。
自衛隊の紹介と言うより、人間ドラマとして読んで損のない一冊。

 

28歳の時、交通事故でパイロット資格を失った空井二尉。
ブルーインパルスへの内示を受けていながらの挫折。六本木の広報室に異動する。

広報室にテレビ局の女性ディレクター、稲葉リカが来る。
彼女は警察担当記者から異動してきた。
自衛隊に理解はない。そのため質問にも情け容赦がない。

「戦闘機って人殺しの機会でしょう」というリカの発言にキレる空井。
鷺坂室長に「俺らの信条は専守防衛だからな」と言われる。

戦闘機が多くの人を殺せる平気なのは間違いのないこと。
だとしたら、「撃たない誇り」を強調すべきではないのか。
読んでいてそう感じた。

柚木三佐はオヤジの入った「残念な美人」。
槙三佐は防衛大、剣道部の後輩。

女性であるということで損をするのはどこの世界でもあること。
円形脱毛症になるほど悩むのは、人材の損失でもある。

片山と比嘉の関係も自衛隊以外に多くある。
こうした人間関係は「県庁おもてなし課」より描けている。
脇役の存在感が増すことで、作品の厚みは増す。

CMの件はあまりに酷い話。これじゃ自衛官が人ではないみたい。
自衛隊を毛嫌いしている人って多いんだなあ。

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「あの日の松島」は、東日本大震災と自衛隊を描いている。
誰かが危険な場合、自衛隊は活動する。

当たり前だが、自衛官も血の通った人間で家族がいる。
このことは「右傾化」とか言わずに素直に読みたい。

私はこの作品を読んだ後でも自衛隊には大きな疑問がある。
法律上も不安定な立場であることは確か。
実際の広報室がその疑問にどう答えるか。期待したい。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 16:18| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
TBありがとうございます。
こちらも送らせて頂きました。
航空自衛隊の広報の仕事、興味深かったです。
やはり自衛隊に因縁をつけてくる人はいるので、その対処をする広報の人達は大変だと思います。
鷺坂のような人は適当にやっているようでいて実際にはかなり気を配っていて、凄い人だなと思いました。
空井も鷺坂達から色々学んでいたし、良い広報官になっていくのではと思います。
Posted by はまかぜ at 2014年10月14日 21:15
はまかぜさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

自衛隊の広報を描くとは、有川らしい作品です。
広報の側から話があったということですが、知らない世界なので興味深いものがありました。

震災など、厳しい現実はありましたが希望のある終わり方でした。

今後とも、よろしくお願いします。
Posted by りゅうちゃん(管理人) at 2014年10月15日 08:49
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