過疎の田舎と家族を描く連作短編集。
「レイコさんの帰郷」
三浪したものの、東大合格がかなわなかったレイコ。
生まれ故郷の梅郷町に戻ってきた。
一緒に戻ってきたのはイネ。
17で結婚したイネは息子を連れていた。
レイコの実家では、カラオケボックス「ウッドフィールス」を経営していた。
弟のタカツグを田舎から出さないための策だった。
「泳げ、こいのぼり」
カラオケ常連客の老夫婦。
クリームソーダを頼むのは意味があった。
人が少なくなったことで、姿を見せなくなったこいのぼり。
集めて一緒にあげようとする計画があった。
痴呆は田舎にももちろんある。
誰が介護するかは深刻な問題だ。
「フルサトガエル」
イネのじいちゃん、コウゾウは天気を当てる名人だった。
ある日、イネの夫マスオさん(浩一郎)がやってくる。
「タカツグの恋」
免許取得のため、沖縄に行ったタカツグ。
戻るなり、大学。受験すると言い出す。
イネはタカツグの心変わりを恋だと見破る。
だが、相手の女性はしたたかだった。
「エラジンさん」
偉人のことをエラジンと呼ぶ梅郷の人々。
定職を持たず、人の手伝いをしていたサブちゃんこそエラジンだった。
誰も世話することのなくなった田んぼ。
サブは以来に応じて田植えや仮取りしていた。
しかし体調を崩したサブは入院。
刈り取り前に、台風が来る。
弁護士と開業医をしているサブの兄二人が冷たいのは腹が立った。
しかし、自分が同じ立場ならどうしただろう。
地域の崩壊は商店街だけではない。
農村の崩壊は深刻だ。日本各地で似た状況があるはず。
「ふるさと」
イネが家族に相談しないまま東京に戻った。
受験シーズンが近づく中、レイコは東大を再び受けるかどうか悩む。
レイコの母、珠代は腎臓結石で倒れる。
家事を分担する家族だったが・・・
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田舎の過疎と介護、そして家族の意味を問う作品たち。
似た悩みを持つ読者も多いはず。
しかし、人気のある重松が出す本にしては「やっつけ仕事」ではないのか。
どこかわざとらしい感じがしてレイコなど登場人物に感情移入できなかった。
次の作品に期待したい。
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