父親が想いを抱え、日本各地を旅する。
主人公はセキネ。息子の由紀也は夜中に突然心臓が止まった。
息子の死後、妻の洋子と2人でいることが苦しくてセキネは日本各地を旅する。
彼には別れた妻である美恵子と、15歳になる娘の明日香がいた。
明日香は彼の旅についてくる。
セキネの離婚は、DVや浮気が原因ではなかった。
ただ嫌いになったからという妻の側からの申し出だった。
恐山から奥尻島、流氷の町。
奈良やハワイ、出雲や与那国島、最後は島原に行く。
元妻はガンにかかった。そして再発する。
南の島にあるホスピスで一生を終える元妻。
話はここで終わらない。
彼女の死後、島原で精霊流しを行うことに。
そこでも悲しい別れがあった。
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人の死という点で言うなら、「その日のまえに」や「カシオペアの丘で」に通じる。
セキネが各地で出会う人たちは、誰かを失った悲しい思い出を持っている。
「悼む人」(天童荒太)にも通じる部分が多い作品でもある。
流氷の場面では、老夫婦に絶景を見せたかった。
もちろんこの作品はフィクションだが、そう願わずに入られないところが重松の力量。
読者の多くは、震災で亡くなった人たちのことを思い出したに違いない。
私のそのひとりだ。
人は誰かを失った空間を何で埋めるか。
忘れることが供養や救いになるのだろうか。
ここにもまた、「再生と喪失」を描いた世界がある
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