残された女性と友人の物語。
主人公は21歳の大学生、奈緒子。家族と離れ、一人暮らしをしている。
そんな彼女の所に、家出してきた父親がやって来た。
奈緒子には加地という恋人がいた。
しかし、彼は海外旅行中に起きたバス事故で亡くなる。
今、奈緒子は加地の友人である巧が恋人。
奈緒子と巧は加地の思い出を引きずっていた。
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橋本の作品は「空色ヒッチハイカー」以来。
この作家が上手いのは、文化祭をどう描くかという点。
奈緒子から見たプラネタリウムとフォークダンスの場面。
後に巧が裏方としてどう活躍したかが描かれる。
読者は同じ場面を2回読むことにより、物語の立体化に成功する。
死者はある意味最強のキャラクター。
時間の経過とともに思い出が美化されるし、年を重ねるということがない。
この点は新潮文庫の解説で重松清も書いている。
恋人が死に、死んだ男の友人が女性と付き合う。
ある意味王道なんだけど、私は新鮮さを失わずに読めた。
タイミングもあるが、主人公だけでなく登場人物に感情移入できた作品。
「絶対に書けない物語」ではなく、「書けそうでいて書けない物語」でもある。
もうひとつ、男が描いた女性主人公という点でも私には不自然なく読めた。
女性読者はどう感じたのだろう。
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