事件の裏に隠された、隠したい事実とは何か。
まだ山手線が「国電」と呼ばれていた頃の話。
始発前の操車場で男の遺体が見つかった。
顔を石で潰された遺体。怨恨説が有力だった。
警視庁は捜査本部を設置して真相解明に動き出す。
しかし捜査員たちの努力は実らず、捜査本部は解散となる。
ベテラン刑事の今西栄太郎は、この事件を追い続ける。
岡山に住む男が上京する。被害者は自分の養父ではないか。
被害者が特定されたことで突破口が開ける。
週刊誌の記事から中央本線の窓で紙ふぶきを撒いていた女性の話を知る今西。
それは紙ふぶきではなく、血のついたシャツだった。
だが、この女性は睡眠薬を大量に飲んで自殺。
彼女だけでなく、事件の関係者が次々に死ぬ。
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この作品の背景にあるのが、ハンセン病(らい病)への差別。
思い出すのが、黒川温泉のホテルで起きたハンセン病元患者宿泊拒否事件。
批判されたホテルは営業停止した後、廃業となった。
事件当時、「ホテルの対応は理解できる」という意見がネットでは一部で見られた。
もしハンセン病ではなく被差別部落が背景にあったとしても、何も不思議ではない。
つまり、この作品は残念ながら今に通じるということ。
戦災で戸籍が失われ、本人の証言で再生されるという話。
部落差別でも、実際似た話があったに違いない。
差別は何も無くなってはいない。
いつになったらこの作品が「過去のもの」になるのだろうか。
苦言をひとつ。
妊婦が倒れていると産婦人科医のところに電話がかかる。
これは、救急車対応が普通ではないのか。
医師も、119番通報するよう通報者に言うはずだ。
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