人気作家初期の連作短編集。
「タマネギねこ」
小村学が裏階段で見つけた茶トラの猫。
ノラと名づけて飼うことにしたのだが、みつばコーポラスはペット禁止。
不思議なことにこのノラはタマネギを食べる。
そして洗うと小さくなる。
「ラッキー・メロディー」
一樹の両親が法事で出かけている間、おじさんの家で居候をしていた。
だが、彼の気になっていることは5日後にあるリコーダーのテスト。
そんな時、一樹は笛を2本持ったクモに出会う。
それはドクダミとヒマワリで作った笛で、ドクダミは不幸を招く。
「モクーのひっこし」
7歳のナナは、何でも開けるのが好き。
その度に怒られるがまたも開ける。
閉鎖されたダストシュートを開けてみたら、オバケのモクーがいた。
モクーは煙が大好き。
スナック「マッチ売りの少女」でエア・クリーナーとなったモクーなのだが・・・
最後が最初のエピソードとつながっているところがよくできている。
連作短編集はこうでなくては。
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彼女の作品は「一瞬の風になれ」以来。
人気作家の初期作品を後から読むのは結構楽しい。
荒削りの部分はあるが、「あの作品」のプロトタイプが楽しめる。
新潮文庫の解説は上村令。
不思議なことに対して「何故起きたか」は解明しない。
子どもたちだけでなく、大人も不思議なことに巻き込む。
そこが佐藤らしいところ。
彼女の作品は「サマータイム」、「しゃべれども しゃべれども」など未読が多い。
もっと読むべきかもしれない。
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ごきげんな裏階段(佐藤多佳子)
佐藤多佳子 著『ごきげんな裏階段』読了
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