2014年05月15日

「青い鳥」メーテルリンク

言わずと知れた名作。原題はL'Oiseau bleu
ベルギーの作家メーテルリンクは1911年にノーベル賞受賞。

 

クリスマスイブの夜。
木こりの子、チルチルとミチルが夢の旅に出る。

妖女ベリリウンヌはふたりに魔法の帽子をくれる。
これを使っていろいろな世界への道が開かれる。

夜の御殿、森や墓地、幸福の花園、未来の王国。
しかし妖女が求めていた青い鳥はいなかった。

1年が経過し、元の世界へ戻ったふたり。
隣のお婆さん(ふたりには妖女に見えた)が木こりの小屋にやって来る。

チルチルが飼っていたキジバトを、お婆さんの娘が欲しがった。
キジにエサをやろうとして逃げられてしまう。

***** **** ***** ****

私が読んだのは新潮文庫版。翻訳が堀口大學。
昭和35年に初版が出た。平成18年には50刷。

漱石の作品などは100刷を超える。
しかし古い翻訳がずっと使われているのは驚き。
今後もこの翻訳は重版を重ねるに違いない。

幸せは遠くにあるのではなく、すぐ近くにある。
多くの人がそう解釈したのは当然。私もそう感じた。

この作品については多くの人が書評を書いていることだろう。
ならば、私は違った角度から書きたい。

終盤に出てくる「未来の王国」。
ここではまだ生まれる前の子どもたちがいる世界。
人は、何かを持って生まれてくる。

1908年にこの作品は出た。
ということは、チルチルとミチルが見た「未来の王国」にはヒットラーがいたはず。

麻原彰晃や911テロの犯人たちもいた。
自殺する、虐待された子もいた。そう考えると複雑な想いだ。

幸福の花園では、こんな文章が光る。

母親はだれでも、子供を愛するときはお金持ちなんだよ。
(P174)

わたしたちが抱き合うところはどこだって天国なのだよ。
(P175)

世の中にはいろんな母親と子どもがいる。
「ジャマだから」と殺してしまう母親。
安易に中絶してしまう母親。そして虐待する両親。

残念なことに、現在はこの作品が世の中に必要とされない時代にはなっていない。
皮肉なものだ。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 17:25| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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