ベルギーの作家メーテルリンクは1911年にノーベル賞受賞。
クリスマスイブの夜。
木こりの子、チルチルとミチルが夢の旅に出る。
妖女ベリリウンヌはふたりに魔法の帽子をくれる。
これを使っていろいろな世界への道が開かれる。
夜の御殿、森や墓地、幸福の花園、未来の王国。
しかし妖女が求めていた青い鳥はいなかった。
1年が経過し、元の世界へ戻ったふたり。
隣のお婆さん(ふたりには妖女に見えた)が木こりの小屋にやって来る。
チルチルが飼っていたキジバトを、お婆さんの娘が欲しがった。
キジにエサをやろうとして逃げられてしまう。
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私が読んだのは新潮文庫版。翻訳が堀口大學。
昭和35年に初版が出た。平成18年には50刷。
漱石の作品などは100刷を超える。
しかし古い翻訳がずっと使われているのは驚き。
今後もこの翻訳は重版を重ねるに違いない。
幸せは遠くにあるのではなく、すぐ近くにある。
多くの人がそう解釈したのは当然。私もそう感じた。
この作品については多くの人が書評を書いていることだろう。
ならば、私は違った角度から書きたい。
終盤に出てくる「未来の王国」。
ここではまだ生まれる前の子どもたちがいる世界。
人は、何かを持って生まれてくる。
1908年にこの作品は出た。
ということは、チルチルとミチルが見た「未来の王国」にはヒットラーがいたはず。
麻原彰晃や911テロの犯人たちもいた。
自殺する、虐待された子もいた。そう考えると複雑な想いだ。
幸福の花園では、こんな文章が光る。
母親はだれでも、子供を愛するときはお金持ちなんだよ。
(P174)
わたしたちが抱き合うところはどこだって天国なのだよ。
(P175)
世の中にはいろんな母親と子どもがいる。
「ジャマだから」と殺してしまう母親。
安易に中絶してしまう母親。そして虐待する両親。
残念なことに、現在はこの作品が世の中に必要とされない時代にはなっていない。
皮肉なものだ。
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