今日も栗原一止が患者に接し、悩む。
「夏祭り」
病院内で「引きの栗原」で呼ばれる一止。
今日も多くの外来患者と救急車が彼を待っていた。
30歳になった一止(男爵は何歳なんだ?)。
病院から脱走した患者を探しに秋祭りに出かける。
その患者は年に一度の金魚すくいで息子と再会できた。
「秋時雨」
東西看護師にとって高校時代の恩師が入院してきた。
今は警備員をしているという彼。
このエピソードは先が読めたが大いに感動した。
古狐が病死し、女性医師の小幡が病院にやってきた。
最新の内視鏡技術を持つ彼女。彼女の存在は伏線。
「冬銀河」
外科医の砂山次郎は病院を出て大学に戻るという人事が決まった。
彼にとって島内老人の大手術が卒業試験。一止はその患者を膵癌と診断する。
新任の小幡は「栗原君には失望した」と漏らす。
失意の一止に対し、屋久杉君はハッブル博士の話をする。
屋久杉君の話はまさに「負うた子に教えられ」。
これも人情話をよく描いている。
「大晦日」
ついに小幡と師長の外村が診察姿勢を巡り対立する。
小幡の夫は膵癌で死亡していた。「主治医が許せない」と語る彼女。
一方、砂山は島内さんの手術に挑んでいた。
「宴」
島内さんは癌ではなく膵炎だった。
その知らせを聞いて驚き、自分の力のなさを痛感する一止。
大学に戻って勉強したいと大狸に伝える。
「エピローグ」
屋久杉君は引越し。
代わりに院生だと偽っていた御獄荘の元住人、学士殿が戻ってくる。
私にとって、学士が戻ってくるのは想定内だった。
問題はそれがいつになるかという点。ここに持ってきたか。
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このシリーズ、何が優れているか。
それは現役医師が病院が舞台ながら人間を描いていること。
「ジャン クリストフ」(ロマン・ロラン)は読まねばなるまい。
何しろ一止が「最高傑作」「フランス文学の金字塔」と絶賛しているのだから。
このシリーズはこれで終了なのだろう。
この先は、読者が想像すればいい。この想像が結構楽しい。
医学だけでなく文学や花の名前などいろんな面で勉強になった。
大いに感謝している。素直にありがとう。
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