「小説すばる」連載コラムで「泣く話」に挑んだ。
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興味深かったのは「先に行きます」。
地下鉄駅員が話す、掲示板で起きたこと。
ある日、掲示板に「先に行きます」という自殺告知があった。
駅員は消そうかとしたが、「いかないで!」「待ってます」などの反応が続けて書かれた。
さらに、「早まらないで」「予定を変えてください」
「そっちはダメ!」「つかまえた」など。
駅員はこう話す。
「ぶつかることはあっても、人はトラブルを防ぐようにできてんだ」
(P187より引用)
人は不器用で冷酷になれる。
その反面、どこかで「人を救いたい」を思っている人たちがいる。
こうした人たちが生きている限り、人類に救いはある。
昔はよく見かけた駅の掲示板。自動改札もなくなった。
駅は人の関わりが減り、「洗練」されたのかもしれない。
その代わり、情報が個別化し人は孤立している。
携帯は人を便利にしたが、失うものも多く存在している。
ということを、どれだけの読者が感じたのだろう。
3月は、「自殺対策強化月間」なのだそうだ。
この月間が予算を使うための官僚の言い訳月間でないことを願う。
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正直に書くと、30以上もの「ベタな泣く話」は読んでいて疲れる。
「泣く」ということを作者はどう考えていたのだろう。
読者の中には、私のように泣ける話に対して食傷気味の人もいる。
感動に対してアレルギーを持つ人は結構いるはずだ。
作者の冲方は、かなりの実力を持った作家だと私は感じていた。
その力がこの本の中に発揮されていないのは残念。
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