2014年02月27日

「百瀬、こっちを向いて。」中田永一

本書は質の高い4つの短編が収録されている。
中田の作品は、「くちびるに歌を」以来。
 

「百瀬、こっちを向いて。」

主人公は高1のノボル。目立たないことを自認している。
高校時代、野良猫の目を持つ百瀬と「偽の恋人」を演じていた。

バスケ部のエースでノボルにとって命の恩人でもある宮崎。
彼は百瀬と神林の二股をかけていた。
神林の疑いをかわすため、ノボルが呼ばれたのだった。

どう考えても神林は宮崎の二股を知っていた。
それでも演技する。男ってこんなものです(汗)。

「なみうちぎわ」

主人公姫子は97年高校1年の時、水難事故に遭い遷延性意識障害となった。
02年に意識を回復する。浦島太郎みたいに21歳になっていた姫子。

男が絶えない姉とは逆に、地味な生活を送っていた高校生の姫子。
近所に住む小6小太郎の家庭教師となった。

教師不信、人間不信に陥っていた小太郎。
姫子のことを呼び捨てにし、「胸がない」などとのたまう。

この作品、ある意味ミステリーになっている。
素直でなく「捻り」を加えた部分がこの作家らしいというところか。

雷が生命起源に大きく関わっているという話。
これは旧ソ連の科学者、オパーリンの説による。

ただ、隕石が生命(種子)を運んできたという説も最近では盛り返している。
コスモゾアとか、パンスペルミア説と呼ばれる。

オパーリン説は説得力があるものの、正しいと証明されたわけではない。
念のため。

「キャベツ畑に彼の声」

主人公は女子高生の九里子。
伯父の紹介でテープ起こしのバイトをしている。

人気作家、北川誠二の取材テープを聞いているうちに、ある確信が。
26歳の高校教師、本田が北川なのではないかというものだった。

この作品、短いのに2段階のオチがある。ここでも作者の力量に感心する。
「はつ恋」(ツルゲーネフ)は読まねば。

「小梅が通る」

主人公は女子高生の春日井柚木。
本当は美人なんだけど、「ブスメイク」でを隠している。

女の子に声をかけまくっていた山本寛太を軽薄だと感じていた彼女。
素顔を見せないのは、過去の出来事がトラウマになっていたからだ。

ミステリー小説などでメイクで別人になるシーンが出てくる。
これって結構難しい。「火の鳥 黎明編」(手塚治虫)でも描かれた。

***** **** ***** ****

何気なく手にした短編集だったが、内容は充実していた。
これなら別の作品を読むきっかけには十分。しかも読みやすい。

この本、読んだ記憶がある。特に最初のエピソードはよく憶えている。
どうしてブログ記事にしなかったのか分からない。

書評(作家別一覧)

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↑この本についての詳しい記事。とても興味深く参考になった。

中田永一『百瀬、こっちを向いて。』

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百瀬、こっちを向いて。 / 永田永一(乙一)

「百瀬、こっちを向いて。」中田永一

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