2014年04月10日

「天切り松 闇がたり3 初湯千両」浅田次郎

留置所の中で松の語りが冴える。
人気シリーズ第三弾。

   風車

「初湯千両」

寅が主役のエピソード。
大晦日、寅と松は銭湯へ向かう途中イサオという少年に出会う。

彼は湯に入るための銭を失くしていた。
寅がその金を払い、事情を訊くと父親はシベリアで戦死したという。

貧しい母子家庭を救うため、寅は陸軍大臣の家に忍び込む。
かつて軍曹だった寅の情が光るいい話。

「共犯者」

書生常次郎が主役のエピソード。
宮家の姫君と東京に向かう列車内で会った海運会社社長の榊原。

これにはやられた。見事としか言いようがない。
何しろ安吉親分でさえ常次郎の仕業ではないと言い張るくらい。
私も含め、読者がだまされるのは当たり前。

「宵待草」

おこん主役のエピソード。
竹久夢二がおこんにモデルとならないかと声をかけた。

天才はやはり普通の人とは違う。
私は生まれ変わっても天才にはなれない。

「大楠公の太刀」

栄治主役のエピソード。
肺病(結核)で余命の短い小龍(宮子)。

彼女の源氏名は、伊藤博文が命名した。
その源は明治天皇が守り刀とした小龍景光。

栄治は彼女に名刀を見せたくて計画を立てる。
親方の安吉は、ある人に相談する。

再度登場した永井荷風に加えて森鴎外。
なかなかの豪華キャスト。

「道化の恋文」

康太郎に仁太を紹介された松。
仁太の父親はサーカスのピエロ。
秀才であるだけでなく、体操も大車輪などをこなす仁太。

その仁太に学習院のお嬢様から恋文が届く。3人は永井先生に相談する。
慶応で教えている永井が3人に論破される場面は笑った。

仁太の父は肺病をおして最後の舞台に立つ。
父親にはっきりとものを言う息子の姿には涙が出た。

「銀次蔭盃」

松は杯を二つ持っていた。
ひとつは安吉親分からもらった素焼の質素なもの。
もうひとつが今回語られる銀蔵のものだ。

上野駅で再び逮捕された銀次。
網走刑務所に収監されている彼を、安吉親分と松が面会に訪れる。

銀蔵と安吉。そして安吉と松。
二つの親子関係が泣かせる。

***** **** ***** ****

解説は2012年12月に亡くなった十八代目中村勘三郎。
時代小説だけに、役者が書くというのはいいアイデア。

勘三郎は、浅田が河竹黙阿弥を読んでいると明言。
その予想は当たった。忘れるといけないので記録として残しておく。

このシリーズ、第五弾まで出ている。
安吉一家は次にどんな活躍をするのだろうか。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 16:26| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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