叙述トリックの名作を再読。ネタばれあり。
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田舎のキングズ・アボットで、富豪ロジャー・アクロイドがナイフで殺された。
その前に、ファラーズ夫人が亡くなったこととの関連は果たしてあるのか否か。
引退する予定だった「灰色の脳細胞」を持つ男ポアロが事件の謎を解く。
いつも助手として記録していたヘイスティングスは南米に行ってしまった。
医師のシェパードが記録係として作品は成り立っている。
電話は誰がどこからかけたのか。
椅子が移動していたのはどんな意味があるのか。
これらの謎を、ポアロは丹念に調べる。
しかし関係者たちは各自、何か秘密にしているものがある。
「信用できない証言」との戦いがポアロを悩ませる。
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アンフェアではないかということで論争が起きたこの作品。
私にとってこの種の論争は下らない。
事実を読者に隠すとかではない以上、どう描くかは作者の自由。
アンフェアということでこの作品を批判するようなことはしたくないものだ。
不毛な論争については、「ノックス・マシン」(法月綸太郎)の記事でも書いた。
もうひとつ、探偵が犯人を突き止めた場合。
その犯人を警察に引き渡して法の裁きを受けさせるのか。
それとも、犯人の自殺を認めるのか。ポアロの場合は後者だ。
別の作品でも、ポアロは犯人の自殺を止めなかった。
(作品名についてはネタばれになるといけないので書かない)
探偵によっては、「犯人の自殺は恥」と心に決めている者もいる。
これは、ポアロの方針というより作者であるアガサの考えではないか。
今回、私が読んだのは大久保康雄翻訳の古い(1972年)創元推理文庫。
大久保氏といえば、ホームズを思い出す。
ヘイスティングスとのコンビはポアロ最後の事件「カーテン」で復活する。
未読の方は読んでみるといいだろう。
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