2013年12月04日

「英雄の書」(上下)宮部みゆき

小学5年生の女の子が、同級生を刺殺した兄を追う。
宮部が独特の世界観を描くファンタジー小説。一部ネタばれあり。
   

宮部作品は「小暮写眞館」以来。
読む順番が違うけど、この作品がファンタジーだという評判から二の足を踏んでいた。

主人公は小学5年生の友理子。
ある日、授業中に家に帰るよう言われる。

14歳の兄、大樹が同級生を殺傷し失踪したという。
よくできた兄だったが、どうしてそんなことになったのか。

兄の部屋にあった赤い革の本が友理子に語りかける。
その本は、人嫌いだった大叔父が持っていた。
この大叔父、私は鹿島茂をイメージした。

英雄とは何なのか。我々が日頃考える「善だけ」ではないという。
友理子が向かった「無名の地」とは。

宮部は作品で欠損家族を描く。
今回もまた兄を失った幼い妹がオルキャスト(印を戴く者)ユーリとして活躍する。

上巻の終盤、友理子に従者ソラが行動を共にする。
ハツカネズミに姿を変えたアジュと合わせ3人(?)。兄を取り戻せるのか。
   

下巻になると、「狼」アッシュが加わる。
大樹がどうして事件を起こしたのか。乾みちるという同級生も登場。
イジメが事件の背景にあると知る。

顔の傷でイジメられた彼女。両親も離婚し、ここにも欠損家族が。
彼女をかばった大樹が今度は標的に。

英雄に魅せられた大樹。彼は「器」になったのだという。
この世に怨念がある限り、英雄は求められ復活する。

一行はヘイトランドに向かう。
パリで死んだはずの水内は生きていた。

***** **** ***** ****

アッシュの命名はコミックから。これはもちろん「BANANA FISH」(吉田秋生)。
小5がこの作品を読んでいるかと思うと、そっちのほうが怖い(汗)。

また、所々小5とは思えない表現も見られる。
たとえば「小鹿みたいにピチピチした若い先生だった」(下巻314ページ)という部分。
これは「オバサン宮部」の表現。とてもじゃないが小学生女子の言い方ではない。

ソラの正体については予想できた。
というより、他に考えられない。

気になったのが、大樹の起こした事件の認識。
特に母親は、同級生の死亡ということを理解していたのか。

この作品、「人気大衆作家」宮部としてはかなり評判が悪い。
ゲーム好きな宮部。いつかはこうした作品を出してみたいと思っていたはず。

彼女はファンタジーに向いていないのだろうか。
それとも日本人がファンタジーを出すことがそもそも間違いなのか。

特に後半は描写ではなく説明が多くなっている。
加えて、読者は設定よりドラマを欲している。

私は「ブレイブ・ストーリー」が未読なんだけど、読むか否か迷う。
少なくとも優先順位は低い。

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