2013年11月24日

「ピエタ」大島真寿美

ピエタ慈善院を舞台に静かなドラマが展開する。
2012年本屋大賞3位。
   

主人公は捨て子だったエミーリア。ピエタで育った。
<合奏・合唱の娘たち>に選ばれたが、今はピエタの事務を司る。

幼い頃から仲のいいアンナ・マリーアは優れた音楽の才能を持っている。
<合奏・合唱副長>となっていた。
ある日、恩師のヴィヴァルディが遠くウィーンで亡くなったと知る。

エミーリアたちと同じくビエタで音楽を学んでいたヴェロニカ。
金持ちで未亡人の彼女は、ある楽譜を探すようエミーリアに依頼する。

その楽譜には、ヴェロニカの詩が書かれているという。
楽譜を見つけたら、多額の寄付をピエタにするという。

ヴィヴァルディが生前親しくしていた女性と会うエミーリア。
クラウディアと名乗るその女性はコルティジーナ(高級娼婦)。

ヴェロニカをクラウディアと会わせるエミーリア。
しかしクラウディアと再会した時、彼女は死の床にあった。

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小説とは何か。
それは、どこにも行かずに我々読者を死後の世界や宇宙の果てに誘う。
宇宙に比べたら、18世紀のベネチアなどすぐ近く。
(ヴィヴァルディが亡くなったのは1741年のこと)

この本、実は一度読むのを挫折していた。
物語の世界に入っていけなかったからだ。

こうした場合、読むのを止めるかしばらく時間を置く。
数日後に読むと、挫折が嘘のようにページが進む。

この作家は初めて読むが、独特の世界観を持っている。
歴史上の人物を描くのは初めてだというが、他の作品も読んでみたい。

しかしだ、この作品が本屋大賞3位というのは高く評価され過ぎではないか。
確かに私には逆立ちしても書けないが、前評判が高かった割に感動が少なかった。
多くの読者は結末に出てくる楽譜の行方に涙したのだろうか。

作曲家ヴィヴァルディはベニスで活躍したんだ。
しかも司祭だったとは、それすら気にしたことがなかった。

作品にも登場するベネチアのマスク。

 

ベネチアといえば、映画「旅情」くらいしか思い出せない。
私の引き出しの少なさ、知識の貧困がよくわかる(汗)。

l'estro armonicoはこの曲。
   

この作者、本書のためにどのくらい取材したんだろうか。

赤ん坊を預かるスカフェータ。
日本で言うと「赤ちゃんポスト」になるのだろうか。
慈恵病院(熊本市)にある「こうのとりのゆりかご」(07年設置)を思い出した。

イギリスにオリバーツイストがいたように。アメリカにアニーがいたように。
日本にも児童養護施設がある。
「神様のみなしご」(川島誠)で描かれたように。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 13:29| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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