笑ったし泣いた。満足できる一冊。2012年本屋大賞4位。
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松山先生が産休のため、東京から美人の柏木先生が呼ばれ赴任した。
ふたりはかつての同級生。そしてそれ以上の因縁がある。
柏木は慣れない合唱部の顧問としてNコン(NHK全国学校音楽コンクール)に挑む。
自分のことをニートと呼び、wiiのコントローラーばかりを相手にしていた。
美人の柏木目当てに入部する男子生徒たち。
しかし、男子の多くはやる気がなく部は分裂状態に。
物語はナズナとサトルの目で進行する。
孤独で目立たないサトル。兄は自閉症で面倒を見なければ外出もできない。
ナズナは母がガンで死亡。父は愛人を作り家を出たため男嫌い。
しっかり者の部長兼指揮者の辻エリやコトミなど、合唱部は多彩な人物構成。
Nコン長崎大会の当日、柏木先生の様子がおかしい。
心臓の弱い松山先生が出産することで動揺していた。
リハーサルでも冴えない柏木。部員はある提案をする。
アンジェラ・アキ 『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』
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作品は、稚拙な部分もあるのだが私は素直に受け入れられた。
サクマドロップのエピソードなど、疑問に思った読者も多かったに違いない。
顧問が東京から来た美人だからといって、合唱部に入るのも単純すぎる。
何故、私はこの作品に共感するのか。
それは、私がかつて合唱部にいたからかもしれない。
と言っても中学3年の時、半年間だけ。
混声合唱を成り立たせるための期間限定部員だった。
年配の先生は指揮者として熱意があった。
中三で受験があるのに夏休みも7月は毎日練習。
文化祭では、無謀にも独唱に挑戦したくらい。
個人的に独唱はうまくいった。結構目立った。
普段褒められることの少なかった私も、この時は鼻が高かった。
部員同士の恋愛ももちろんあった。
当時、男子はやる気がなかった。
だからこそ、この作品に描かれていた男女部員の温度差はよく理解できる。
ピアノ伴奏を担当する若い先生にも、当時はとても迷惑をかけた。
今更ですが、ごめんなさい。反省しています。
だが、合唱を経験したことは無駄ではなかった。
これだけは今でも自信がある。毎日の練習で、私たちは多くのことを学んだ。
この作品でも、人のどこに才能があるかなかなかわからないもの。
サトルの作詞はその証明でもある。人は何かの才能があるはず。
追記
私の出た中学でも「奇跡の場所」はあった。
生徒会室の隣が女子更衣室だった。
壁には穴があき、「LOOK」と書いてあった。
私は見てないよ。本当だよ(汗)。
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中田永一は、乙一と同一人物なんだ。
恥ずかしながら読み終わって検索するまで知らなかった。
タイトルにもなった「くちびるに歌を」はこれ。
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今日も、多くの学校で合唱部が活動をしている。
何のために歌うのか。男女の仲は悪いのか。
「歌ってすごい力がある!」と雷に打たれたような感覚を持つなら。
コンクールに出た部員は全員が勝者だ。
こればかりは経験しないことには分らない感覚。
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この作品は、ラストでサトルの悩みが明らかになるところが一番印象に残っています。
『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』を合唱しながら悩みが明らかになっていく場面は、読んでいて少し切なくも不思議とすごく悲しいということはありませんでした。
また、読み終わったら自然と『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』の動画を見ていました。
コメントありがとうございます。
悩みについては構成の上手さが光ります。
読んだ後の爽快感が印象に残った作品でもあります。
そちらのブログは読んでいて参考になります。
またよろしくお願いします。