私は1000年かかってもすべてを理解できないだろう。
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「死は観念」、「生とは想像」と述べるなど、多くの箇所が記憶に残る。
例えば、こんな感じ。
「すべての人間の悪は孤独であることができないところから生じる」(P43)
「怒を避ける最上の手段は機智である」(P57)
読書というのはつまみ食いの連続だと私は考えている。
だとしたら、食べ残しがもったいない。そんな本だ。
大学の教養科目で哲学を選択した際、洞窟の比喩というのがあった。
これはプラトンが考えた。
私は三木の主張について、「影」の部分しか理解していないのではないか。
しかも、ごく一部の影を見て理解したつもりになっているのではないか。
最初にも書いたが、1000年かかっても内容をすべて理解できないのかもしれない。
再読が何度も必要だろう。
まずは意味がわからなくても通して読む。
次には意味を調べつつ一行ずつ刻むように読む。そして、内容を疑いつつ読む。
さらに、これらの読み方をミックスして読む。
それでも半分も理解できていないのだろう。
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著者の三木は、京都帝国大学を卒業。ドイツに留学した。
大谷大学、龍谷大学、法政大学などで教えた。
しかし敗戦直後の1945年、仮釈放中の者をかくまったとして身柄を拘束される。
不衛生な環境の刑務所で疥癬にかかり、腎臓病も悪化して48歳で亡くなった。
wikipediaのページによると、この件で治安維持法の急遽撤廃が決まったそうだ。
生きていたら、多くの書物を世に送り出しただろうに。
もったいない。三木氏の命はもちろん、社会的な損失は大きい。
追記 この本、「青空文庫」で公開されている。
人生論ノート(青空文庫)
海外にいても、すぐ読めるというのは便利な世の中なのだなあ。
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三木清『人生論ノート』(新潮社)
難解な、あまりに難解な――三木清『人生論ノート』(新潮文庫)@
人生論ノート(1941)、三木清、新潮文庫、1954
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