100人を救うことはできるのか。
【送料無料】幽霊人命救助隊 [ 高野和明 ] |
高野和明といえば、「グレイヴディッガー」や「ジェノサイド」。
もちろん、「13階段」も有名だ。その高野が自殺を描く。
自殺したはずの主人公裕一は、何故か山に登っていた。
頂上には3人がいた。老いたヤクザの八木。冷静な市川。唯一の女性、美晴。
そこに現れたのが神様。
49日間(7週間)に100人を救うことで天国へ行けると言う。
彼らは無事、100人を助けることができるのか。
4人のジェネレーションギャップが会話に出てくる。
それは多くの場合つまらないが、例外もある。それは後で述べる。
この本の存在する意味は何か。
自殺予備軍が、この本を読む余裕はないかもしれない。
しかし、どこかで「こんな本がある」ということを耳にするかもしれない。
樹海での死は孤独で損ばかり。うつ病は薬で治る病気だ。
借金で死ぬことはない。
日本社会の不平等を描くという点でも意味がある。
人は、生きているだけで意味があるものだ。
では、この本を読者は単に「娯楽」として消費してしまっていいのか。
この点を、忘れるべきではないと私は考える。
読んでいて思い出したのが「カラフル」(森絵都)。
この手の話はたくさんあるはず。
誰かを助けるために死ぬということが議論になる。
これで思い出したのが、先日起きた横浜線の踏切事故。
サンデル教授(ハーバード大)が講義で使いそうな事故だった。
以下のセリフが記憶に残る。
「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである」
(文庫P568)
厚いが、読んでよかったと思える本。
誰かに勧めたい。
***** **** ***** ****
文庫の解説は養老孟司。
つまらない文章だが、一部納得できる部分がある。
それは、人の死を冗談で語るという点について。
養老は落語を用いてこの作品と比較している。
立てこもり事件の犯人を狙撃すべく配置された警察のスナイパー。
頭に思い浮かぶ「アジャパー」とか、「ゲバゲバ・ピー」には不謹慎ながら笑った。
他の冗談は滑っているばかりで面白くなかったが、この部分だけは別。
石油が人を怠けさせるという養老の説はともかく。
何故作家がフィクションを書くのか。その証明にもなっている。
村上春樹がエルサレム賞授賞式のスピーチで語ったことは本当だった。
(詳しくは書かないが、気になる人は検索してみて)
***********************
関連記事
高野和明:「幽霊人命救助隊」
【幽霊人命救助隊】題名ダサいが内容は良い
幽霊人命救助隊/高野 和明
幽霊人命救助隊
***********************
*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。
【関連する記事】

