結城中佐率いる「D機関」のメンバーが活躍する。ネタばれあり。
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「誤算」
1940年のパリが舞台。
ドイツに占領されたパリに、日本人の島野はいた。
ドイツ兵に向かって罵詈雑言を投げつける老婆を救った島野。
銃で殴られ、記憶喪失になる。
90対8対2というのは、レジスタンスが私の想像よりかなり少ない。
島野が現地に残ったら、パリの開放を体感できたかもしれない。
小麦粉を使った粉塵爆発。
これについては、「パイナップル ARMY」や「MASTER キートン」にも出てきた。
「失楽園」
日本が占領する前のシンガポールが舞台。
ラッフルズホテルで英国人実業家が死んだ。
アメリカ人武官の恋人が容疑者として出頭する。
この事件、複雑な裏があった。
他人を思うように操るのはさすが一流のスパイ。
本当にそんなことができるのか。
歴史的事実として、日本軍は海からシンガポールを攻めなかった。
真珠湾攻撃と同じ日、マレーシア東海岸のコタバルに上陸。
自転車を使った「銀輪部隊」で南下。シンガポールは陥落。
ラッフルズホテルは接収され「昭南旅館」と名称を変更した。
山下将軍が机を叩き、パーシバルに降伏を迫ったのは有名な話。
この場面は、今でもセントーサ島に人形として残っている。
逆に板垣大将が降伏する場面もある。
「追跡」
英国人特派員のアーロン・プライス。
結城中佐の足跡を追う。
この話、スナイパーを描いた漫画「ゴルゴ13」でも似たエピソードがあった。
偽の情報を流し、正体を暴き無力化する。
すごいのは、結城中佐が一度も姿を見せないこと。
取材対象が、いつも事実を話すとは限らない。
その点を見抜けなかったアーロンは記者としてだけでなく、スパイとして失格。
「暗号名ケルベロス前・後編」
日本の客船「朱鷺丸」に乗った内海。
モーガンというアメリカ人に出会う。
二人はクロスワードパズルを解くが、そこにイギリス軍艦が出現。
乗っていたドイツ人の収容を目論んでいた。
その騒ぎの間、モーガンは謎の死を遂げる。
青酸化合物による毒殺だった。
タイトルのケルベロスは、ギリシャ神話に出てくる。
ヘラクレスの冒険で退治される。
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このシリーズ、相変わらず面白い。
前作の記事で続編は「外伝にすべき」と書いた私が間違っていた。
日本のスパイたち(D機関に限る)はかなり優秀。
この後、第4弾はあるのか。
暗号を解読された日本は、ミッドウェー海戦以降苦戦を強いられる。
戦線が延び、補給もままならなくなったからだ。
そんな中で、D機関のスパイたちはどう終戦を迎えるのか。
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このD機関シリーズは一番好きなんですよね^^
こちらからもTBさせてくださいね♪
私もこのシリーズ結構好きです。
特にこの第3弾は、結城中佐の過去を探るなど興味深いものがありました。
日本にもこんなスパイ小説があったんですね。
TBは無事届いています。
そちらのブログですが、読書の分野は結構似ているところがあります。
またお邪魔させていただきます。