2013年09月03日

「夕子ちゃんの近道」長嶋有

骨董品を扱うフラココ屋を舞台にした連作短編集。
第一回大江健三郎賞受賞作。
   
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主人公はフラココ屋の2階に住む「僕」。
買わないけれど常連の瑞枝さん。

大家の孫にあたる朝子と夕子の姉妹。
大学でフランス語を教えている(いた?)フランソワーズ。
少ない登場人物が織りなす物語。

作者の父親は、国分寺でニコニコ堂という古道具店の店主だった。
この作品集に影響を与えていることは容易に想像できる。

フランソワーズの提案で大相撲を観戦に行く。
定時制高校に通っていた夕子は、教師と恋愛して妊娠してしまったり。
最後にはみんなでフランスへ行ってしまう。

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長嶋有といえば、芥川賞受賞作「猛スピードで母は」を思い出す。
「サイドカーに犬」も読んだし、「パラレル」もあった。

「夕子ちゃんの近道」は、「不必要なことは書かない会話」を作者が大切にしている。
私はそう感じた。

ただ、私には状況が浮かびにくいという点が気になった。
決して難しいことを表現しているわけではない。

にもかかわらず、頭にすっと入ってこないこの会話を私は好きになれない。
「猛スピードで母は」「サイドカーに犬」を高く評価していただけに残念。

巻末の選評で大江健三郎はすごく褒めている。
しかし、この本が翻訳されたら海外でどう解釈されるのか、私には想像ができない。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 16:57| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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