ドイツの秘密兵器「ローレライ」を回収すべく秘かに出航した潜水艦があった。
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もともとフランス海軍所属だった潜水艦。
戦利品としてドイツに渡り、そのドイツも降伏。
元SS隊員エブナー少尉を含む乗組員とともに日本に渡る。
だが途中でアメリカ軍の潜水艦に追われた。
仕方なく秘密兵器「ローレライ」を五島列島沖に放棄。
日本で<伊507>となった潜水艦で、ローレライを回収に向かう。
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ローレライはドイツの少女パウラが核となる人間レーダーだった。
艦長の絹見はじめとする<伊507>の乗組員は、海軍らしからぬ陣容。
米軍の潜水艦に妨害されながらもローレライを回収する。
次に向かう先は日本ではなく、日米両国から見捨てられたウェーク島。
そこで絹見に伝えられた命令とは。
その間にも米軍は広島と長崎に原爆を投下する。
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ローレライを使い、アメリカ本土を奇襲するという無謀な作戦。
だが、それは浅倉大佐の仕掛けた罠だった。
合流地点で待っているのは日本海軍の残存部隊ではなく、米軍。
ローレライをアメリカ側に渡すというのが浅倉の狙い。
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艦内では反乱が起きる。それを制圧して、テニアンに向かう<伊507>。
3発目の原爆が、東京に投下さわれるのを阻止すべく米海軍に挑む。
作品に紹介されている「椰子の実」はこれ。
とても長かった。
これほどの長編は、「1Q84」(村上春樹)以来ではないか。
前から気になっていた作品。いろいろ考えながら読んだため、1週間かかった。
「亡国のイージス」も未読なので、いつか読んでみたい。
戦争は、始めるのが簡単。しかし、終えるのが難しい。
アメリカはベトナム戦争で日本の教訓を生かしてほしかった。
日中戦争は「戦線不拡大」の方針に反して泥沼化していった。
軍人には戦争をやめることは難しい。
何故、戦争をやめさせられなかったか?
この作品、いくらでも突っ込むことはできる。
しかし、いくらそれらのマイナスを差し引いたとしても。
見事な力作であることに変わりはない。
私が気に入った登場人物は時岡軍医長。
田口に向かって「体に謝れ」という場面はいかにも時岡らしい。
私がケガをしたら、彼に診てもらいたい。
軍人らしくなく、潜水艦乗務員としても適格者ではないが、それがまたいい。
時岡だけではない。
出来のいい弟が自殺した絹見など、それぞれにドラマがある。
ひとつだけ苦言を。
潜水艦が潜行するのは「沈む」のではなく「潜る」と言う。
これは、「クジラの彼」で有川浩が書いている。
「沈む」は撃沈された時に使うので縁起が悪い。
この作品も、「右傾エンタメ」として批判されるのだろうか?
だとしたら私にはそうした考えが理解できない。どう考えても反戦の内容なのに。
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この作品、「ローレライ」といて映画化された。
絹見は役所広司、折笠が妻夫木聡、木崎に柳葉敏郎というキャスト。
今のところ観るつもりはない。
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