2013年08月02日

「原色の街/驟雨」吉行淳之介

第三の新人のひとりとして知られる吉行淳之介。
「驟雨」は芥川賞受賞作。
   

「原色の街」

娼婦のあけみは元木とつきあう。
その反面、瑠璃子と見合いをする。

お嬢さんでありながら娼婦のような瑠璃子。
逆に娼婦ながら精神的なものを大切にする女。
二人の対比こそ、この作品でメインに描かれる。

芥川賞候補になるも落選。
次に収録された「驟雨」で受賞する。

「驟雨」

主人公はサラリーマン3年目の山村英夫。
娼婦のみちこに真剣な想いを持つようになる。

本来遊びであるはずの娼婦との関係。
しかし英夫は嫉妬を強く感じる。

村上春樹はプリンストン大学にいた際、講義で第三の新人を取り上げた。
その春樹自身は嫉妬を感じたことがないという。
(ファンからは「リアリティがない」と批判されたこともある)

その春樹がこの作品を読んで、嫉妬についてどう学生たちに解説したか。
とても気になる。

「薔薇販売人」

野いちごの株を使って、「これはバラ」と偽り売る。
会社員の檜井二郎は、夫のいるミワコに偽のバラを売ろうと近づく。
ミワコは次郎を相手にしなかったのだが・・・

これも際どい男女関係を題材にしている。
もちろん古い作品なのだが、私には逆立ちしても書けない作品。

「夏の休暇」

父と子の一郎は母親を置いて島と伊豆に旅行する。
船で出会った女性との関係。

厳しかったり優しかったりする父親のよくわからない言動。
息子の目から見た情景で話は展開する。

「漂う部屋」

主人公の「私」は結核で短期の入院をしている。
入院患者の中には、手術の不適用から長期の入院を余儀なくされている者もいる。
そんな彼らの人間模様と性を描く。

吉行自身、結核で療養所に入っていた。
宮本輝も結核で療養中の経験を作品で描いた。

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間違えてはいけない。
吉行は性を描きたかったのではない。

性の向こう側にある人間を描く。これが彼の手法だ。
性というものに対して、人はありのままの姿を見せる。
それを切り取ることこそが、吉行流の小説と言えるのではないか。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 08:43| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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