「驟雨」は芥川賞受賞作。
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「原色の街」
娼婦のあけみは元木とつきあう。
その反面、瑠璃子と見合いをする。
お嬢さんでありながら娼婦のような瑠璃子。
逆に娼婦ながら精神的なものを大切にする女。
二人の対比こそ、この作品でメインに描かれる。
芥川賞候補になるも落選。
次に収録された「驟雨」で受賞する。
「驟雨」
主人公はサラリーマン3年目の山村英夫。
娼婦のみちこに真剣な想いを持つようになる。
本来遊びであるはずの娼婦との関係。
しかし英夫は嫉妬を強く感じる。
村上春樹はプリンストン大学にいた際、講義で第三の新人を取り上げた。
その春樹自身は嫉妬を感じたことがないという。
(ファンからは「リアリティがない」と批判されたこともある)
その春樹がこの作品を読んで、嫉妬についてどう学生たちに解説したか。
とても気になる。
「薔薇販売人」
野いちごの株を使って、「これはバラ」と偽り売る。
会社員の檜井二郎は、夫のいるミワコに偽のバラを売ろうと近づく。
ミワコは次郎を相手にしなかったのだが・・・
これも際どい男女関係を題材にしている。
もちろん古い作品なのだが、私には逆立ちしても書けない作品。
「夏の休暇」
父と子の一郎は母親を置いて島と伊豆に旅行する。
船で出会った女性との関係。
厳しかったり優しかったりする父親のよくわからない言動。
息子の目から見た情景で話は展開する。
「漂う部屋」
主人公の「私」は結核で短期の入院をしている。
入院患者の中には、手術の不適用から長期の入院を余儀なくされている者もいる。
そんな彼らの人間模様と性を描く。
吉行自身、結核で療養所に入っていた。
宮本輝も結核で療養中の経験を作品で描いた。
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間違えてはいけない。
吉行は性を描きたかったのではない。
性の向こう側にある人間を描く。これが彼の手法だ。
性というものに対して、人はありのままの姿を見せる。
それを切り取ることこそが、吉行流の小説と言えるのではないか。
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