2013年07月31日

「最果てアーケード」小川洋子

ありえない店が集まる、寂れたアーケード。
そこには変わった人たちが集まる。小川らしい短編集。
   

小川洋子の作品は、今まで何冊か読んできた。
最近では「人質の朗読会」。  

芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」
幻のチェスプレーヤーを描いた「猫を抱いて象と泳ぐ」
第1回本屋大賞の「博士の愛した数式」など。

普通から離れた本作品は、まさしく小川洋子。
しかし、魔術や宇宙人が出てくるわけではない。

もしかしたらこんなアーケードが日本に存在するかもしれない。
たったひとりの客のために存在する店。

義眼の店やレース専門店、勲章にドアノブなど、商品はストライクゾーンがかなり狭い。
コロッケの美味しい店など、普通の商店街を描かないところがまさに小川的。

そしてそこには普通では見られない人間模様がある。
嫌いな人は数ページで読むのを止めるはず。

それはそれで仕方ない。
逆に、「こうした小説を待っていた」という読者もかなりいるはず。

空想の世界を描いた川上弘美「蛇を踏む」や「神様」を好んで読んだ読者であれば。
この本はハードルが低く読みやすかったのではないか。実は私がそうだった。

主人公は、このアーケードの大家だった父を持つ娘。
彼女の目で見た世界が語られることで作品が展開。
その彼女、いつの間にか客のために配達を担当するようになる。

小説の価値のひとつに、「自分でこの作品が書けるか?」というものがある。
少なくとも私はそう考えている。

私は生まれ変わったとしてもこうした作品たちを書くことはできそうにない。
自分にないものを求めるのは、人としてかなり自然なことなのではないか。

もうひとつ、この作品集は人の生と死を描いている。
静かに死が描かれる中で、時間が止まることなく淡々と流れる。

文学の大きなテーマのひとつは「人とは何か」。
ならば、この作品たちはそのテーマに触れているはずだ。

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『最果てアーケード』 小川洋子

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posted by りゅうちゃんミストラル at 09:41| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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『最果てアーケード』 小川洋子
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Weblog: くりきんとんのこれ読んだ
Tracked: 2013-07-31 20:48