3部にわたる、赤トラ猫モンと人の物語。
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タイトルの「猫鳴り」は、機嫌の良い時猫が発するゴロゴロのこと。
猫を飼ったことがある方ならよく知っているはず。
<第一部>
40歳にして思いがけず妊娠した信枝。
夫の藤治は喜ぶが、流産してしまう。深い喪失感が夫婦に残る。
そんな夫婦のところに、親とはぐれた子猫がやってくる。
信枝は捨てようとするが、結局飼うことに。
子猫を夫婦の近くに持ってきたのは、アヤメという少女。
あつかましいが、第二部でも登場する。
<第二部>
ここで出てくるのは、不登校の男子中学生。
母親は出て行ってしまった。
父親は作家志望で、息子の行雄に1日800円与える。
「ペンギンの代わり」として、父親は猫を与える。
ペンギンと名付けられたこの猫、行雄は世話を焼くが死んでしまう。
行雄はその後、どうしただろうか。
<第三部>
すでに信枝は病死。残された藤治は大工を引退している。
アヤメは結婚してこの地を去っていた。
老いたモンは、藤治と余生を過ごす。
この作品で思い出したのが、何度も紹介している「虹の橋」。
もうひとつが、「くずかごに頭を」。
橋の近くで、信枝はモンと藤治が来るのを待っている。
若い獣医師が言うように、老いての死は自然なこと。過剰に悲しむことではない。
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この作品、猫を描いてはいるが大きなテーマは生と死。
ペットロスに苦しんだ経験がある方であれば、引き込まれたに違いない。
前にもブログで書いたが、ペットの最期を描くことに批判的な方がいる。
そうした考えはあって当然だが、死ぬこともまたペットの一部。
ペットの死を描くのは、私は当たり前のことだと考える。
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