法月の作品は、「キングを探せ」以来。
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「ノックス・マシン」
舞台は近未来の2058年。文学は数学的に解析されている。
上海大学の研究員、ユアン・チンルウは過去へのタイムとラベルを行う。
彼が向かう先は、1929年2月28日。
推理小説の基本原則について書いた「ノックスの十戒」が関わっている。
「引き立て役倶楽部の陰謀」
ポアロの助手だったヘイスティングス。
彼の目から見た、アガサ・クリスティ抹殺計画。
有名な「そして誰もいなくなった」。
「アクロイド殺し」を読んでいる人にとっては興味深い作品。
ポアロ最後の事件を描いた「カーテン」も大きく関係している。
私は小説について、「面白ければ何でもあり」という考え。
「アクロイド殺し」や「そして誰もいなくなった」は批判があっても面白いので問題なし。
もし、この両作品が存在を否定されるようなことがあれば。
推理小説とはなんと間口の狭いつまらない世界なのか。
多くの小説には少なからず疑問点があるもの。
このことは、日本でもある。
たとえば横山秀夫の「半落ち」。
多くの読者に支持されながら、直木賞は落選した。
横山秀夫氏の「直木賞決別宣言」について
直木賞候補作『半落ち』の評判
直木賞は、「一般とは違った感覚のずれ」が過去何度も指摘されている。
宮部や東野が、代表作で受賞しなかったのはその良い例。
該当者なしの結果に起こった書店員たちが本屋大賞を創設したこともあった。
横山は、こうしたずれのある賞に選ばれなかったことを喜んでいい。
選考委員が何と言おうとも、読者が支持しているのだから。
作家は、下らない選考委員に恐れることなく作品を世に出してほしい。
「バベルの牢獄」
地球人エージェントが、一つ目の異星人に捕まった。
文字を左右逆転させるなど、石原閣下が読んだら「言葉の遊び」と批判しそうな作品。
「論理蒸発−ノックス・マシン2」
最初の作品の続き。
プラティバは、休暇中ゴルプレックスCIOに呼び出される。
古い推理小説のデータが燃える事件が起きているという。
「華氏451度」(レイ・ブラッドベリ)。
「シャム双生児の謎」(エラリー・クイーン)が下地になっている。
修道士となっていたユアン・チンルウが再登場。
火を消すため、「蒸発」することに。
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どの作品も、読者のストライクゾーンが狭い。
好きな人は喜んで読むだろうけど、嫌いな人は数ページも読めないはず。
だが、この作品がきっかけになって古典的な推理小説を読もうとする人がいれば。
これらの作品たちは成功したと言える。
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