私には物足りない作品だった。
【送料無料】自殺の国 [ 柳美里 ] |
どんな作家だったかすぐに思い出せないくらい。
主人公、市原百音は高校受験に失敗。
第一志望の公立どころか私立にも入れず。
滑り止めの偏差値が低い高校に通うようになる。
母親は、小5の弟にかかりきり。父親は、ずっと不倫をしている。
受験をきっかけに、母は弟と二人で関西へ引っ越そうと考えている。
友人の家に泊まると言って家を出た百音。
関西から来た淀川。そして並木やナナと車で湯河原の山中に。
果たして自殺は実行されるのか。
もし、私が自殺するとして。
仲間を募ったとしても女子高生が真夜中の湯河原駅で待ち合わせするだろうか。
作品でも描かれていたが、危険な人物が現れたらどうするのだろう。
ひとりで自殺することが寂しいとしても、私にはまったく理解できない。
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物語の始まりは、まずネット。
そして電車の中で聞く放送と乗客たちの会話。
この二つがとても長く、小説自体が薄っぺらいものに感じられる。
それは、私が自殺に関して慣れすぎているからということはある。
だとしても、この薄さはないんじゃないか。
私は図書館で借りてこの作品を読んだが、とても1400円出す気になれない。
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一時期、ネットで仲間を募っての練炭自殺は流行した。
今も、以前のように報道されないだけで自殺はどこかで行われている。
年間の自殺者が3万人を切ったところで、自殺が多いことには変わりがない。
社会問題を数字で割り切ることは、人間性を失う結果でしかないからだ。
こうした中、小説はどういった役割を果たせるだろう。
言葉は無力でしかないのか。
少なくとも柳はこの作品で「言葉の力」を示すことができなかった。
私にはそれが残念。
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