第146回芥川賞受賞作。
【送料無料】共喰い [ 田中慎弥 ] |
舞台は山口県下関市の川辺地区。
17歳の高校生、遠馬が主人公。
産みの母は別居している魚屋の仁子。右手の手首から先がない。
今同居しているもうひとりの母は琴子。
彼にはひとつ年上の彼女がいる。
セックスしたがりの彼。
父の円(まどか)はセックスの際、女性を殴る。
自分もそうなるのかと悩む遠馬。
やがて問題ある父親を、母の仁子が殺す。
DV男の末路というわけか。
生理と鳥居の関係は、「ケガレ」なんだろう。
今でも場合によっては気にする人は多いのか。
文章は短文を多用し理解しやすい。
地味ではあるが、表現が多彩なのは作者に才能を感じる。
特に川の情景がよく伝わってくる。方言も地方の色が出ていて効果的。
小説は、何も広い世界を見ていなくても書けるし成立することを証明した。
「第三紀層の魚」
今度の主人公は小学生の信道。
関門海峡が舞台として登場する。
祖父が自殺。父親は病死した。
祖母は曾祖父の介護をしている。
最近衰えが目立つ曾祖父。
下血で入院した後亡くなる。
かしわうどんの店を東京に出すため、母は引っ越そうと相談する。
信道母親の提案に同意する。
どうしてこの題名を選んだのか。
「勲七等のチヌ」でよかったのではないか。
***** **** ***** ****
作者の田中は下関の工業高校を卒業。
一切の職業を経験しなかったという。
芥川賞が決まった際、こう言った。
「都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる」
(wikipediaより引用)
この発言も何かと話題になった。
「苦役列車」で芥川賞に選ばれた西村賢太を思い出す。
***********************
関連記事
【共食い】田中慎弥
【共食い】田中慎弥
田中慎弥著「共喰い」〜芥川賞作品を読む第十弾
田中慎弥 『共喰い』 母親の実在感が光る性と暴力の芥川賞受賞作
【書評】田中慎弥さんの「共喰い」を読んだ。
田中慎弥『共食い』を読む
***********************
*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。
【関連する記事】

