2013年05月23日

「ダナエ」藤原伊織

実力ある作家が放つミステリー短編3つ。
恥ずかしながら、藤原作品を読むのは初めて。一部ネタばれあり。
   
【送料無料】ダナエ [ 藤原伊織 ]

【送料無料】ダナエ [ 藤原伊織 ]
価格:510円(税込、送料込)


「ダナエ」

個展を開いていた若き画家の宇佐美。
彼の作品が、薬品をかけられ台無しになった。

受付を担当していた女性二人に訊くと、バッグを持った若い女性が怪しいという。
画廊に電話がかかってきて、これは予告だという。

エルミタージュで起きたレンブラントの作品、「ダナエ」の事件を連想させる。
wikipediaによると、硫酸をかけ切りつけたのはリトアニア人の青年だとある。

読者の多くはすぐに犯人が誰か予想しただろう。
ミスリードが効果的な作品と言える。

犯人は誰なのか。なぜ作品を台無しにしたのか。
この展開、結末は読めなかった。

警察に知らせないという判断については疑問が残る。
やや荒さの残る展開ではなかったか。

ギリシャ神話について

この作品に描かれているペルセウスの話。
昔読んだギリシャ神話を思い出した。

不思議なことに、アポロンの放った円盤に当たったヒュアキントス。
彼の名前から「ヒヤシンス」の名前がついた。

まるで父親に当たったペルセウスの円盤とそっくりそのまま同じ。
神話、聖書などの話にはこうした類似点が多く見つかる。

作品に出てくる「サマータイム」はこれか。

 

「まぼろしの虹」

血のつながらない姉と弟。姉は29歳のサッカー選手。
弟は、CM作成会社勤務。

両親は離婚の危機にあった。
母親の不倫相手について、弟は仕事で知り合った声優から噂を聞く。

ひとつ苦言を。
最初に出てきたサッカーの場面。

サッカーを少しでもやったことのある人なら、ポストはニアかファーの区別はつける。
経験のある弟でなく、藤原が見ているのは明らか。

「水母」

映像クリエイターの麻生。森川という男に声をかけられ話す。
森川は、以前麻生が一緒に暮らしていた真弓と付き合っていた。

真弓は南陽大学の講師をしている。
何故か彼女は神保誠治に異常な反応を示す。

終盤、合成写真を作成しそれを利用するのはご都合主義ではないか。
人物を丁寧に描写している点は高く評価できるものの、やや疑問が残った。

***** **** ***** ****

藤原は、07年に亡くなった。
才能ある人が早く「呼ばれる」事は多い。とても残念。

藤原といえば、直木賞受賞作「テロリストのパラソル」。
そして「シリウスの道」が知られている。
   

「ダナエ」での質の高さを考えれば、読んでみたい。
59で亡くなったのは本当にもったいない。

***********************
関連記事

「ダナエ」藤原伊織

「ダナエ」藤原伊織 文春文庫

『ダナエ』(藤原伊織)は大人だけが味わえる逸品

藤原伊織 「ダナエ」

***********************

*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。 
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。



posted by りゅうちゃんミストラル at 08:49| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/357802423
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

『ダナエ』(藤原伊織)は大人だけが味わえる逸品
Excerpt: 「ダナエ」藤原伊織(文芸春秋社2007)をネタバレなしでレビューする 【1.藤原伊織】 藤原は東大仏文科卒、長年電通に勤務していたが、1995年「テロリストのパラソル」で乱歩賞・直木賞受賞。200..
Weblog: ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」
Tracked: 2013-05-23 14:33