時に拒絶され、警察に通報されつつ彼の旅は続く。
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この作品を読んでいると、新聞などの報道や人の噂がいかに頼りにならないかがよくわかる。
生前、善人と思われた人が実は悪どかったり、その逆だったり。
前にも書いたが人は忘れる。というか忘れるようにできている。
それを忘れないよう努力する静人は、もともと無理がある。
フセがインドネシア人の若者に殺されるのは予想できなかった。
守銭奴は刺殺される運命にあるのか。
高齢者施設の女性職員の話は記憶に残る。
太った父親は、肉や塩辛い不健康な食べ物が好き。
しかし末期ガンで助からない。
あれだけ文句を言っていた「味の薄い煮物」が忘れられない。
この部分は読んでいて思わず泣きそうだった。
孤独だった静人だが、心を寄せる人が現れる。
ナルオと遥香、そして宗教指導者のような雰囲気のタキ。
タキは旅をやめるよう静人に言う。
林に捨てられた嬰児たちのことを話す。
彼らは愛されたのか、感謝されたのか。
だが、私はこう考える。
捨てられた嬰児たちは、「そんなことしちゃいかん!」という警告のために存在した。
少なくともタキや静人は彼らのことを憶えている。
まったくその存在に意味がないわけではない。
逆に、すべての存在を意味があると考えることは人の身勝手ではないのか。
と考えることもできる。
今回も表紙は舟越桂。ピノキオだそうだ。
本の内容とともに、記憶に残る。
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読んでみました「悼む人」「静人日記」☆
『静人日記 悼む人II』天童荒太
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