09年直木賞受賞作。同時受賞は「ほかならぬ人へ」(白石一文)。
【送料無料】廃墟に乞う [ 佐々木譲 ] |
「オージー好みの村」
オーストラリア人で賑わうニセコ。
貸し別荘で、女性の変死体が見つかった。
警察は、オージーの犯行だと考える。
この件を依頼された仙道は、住民とオージーのトラブルを知る。
「廃墟に乞う」
医師から温泉に行くよう薦められた仙道。
そこに、旧知の刑事から連絡が入る。
船橋で起きたデリヘル嬢殺害事件。似た事件が13年前に起きていた。
二つの事件は関連があるのか。仙道は動き出す。
「兄の想い」
若い漁師が年配の漁師を刺殺したという事件。
二人の間には、引き抜きに関するトラブルがあった。
現行犯逮捕ということもあり、捜査陣は簡単な事件だと判断。
仙道が解明した事実は全く違っていた。
この内容は、私にも読めた。その後、兄と妹はどうなったのか。
読んでいて救いのない話に凹んだ。
「消えた娘」
連続暴行犯が警察に追われた末、事故死。
この男の部屋から、行方不明になっている女性のバッグが見つかった。
不明女性の父親に依頼された仙道。事故死した男について調べる。
事件が解明されたとしても、やりきれなさが残る。
「博労沢の殺人」
競走馬牧場のオーナーが殺害された。
彼は金銭でトラブルが多かった人物。
17年前起きた事件で、今回の被害者は容疑者だった。
その時、新米の刑事だった仙道が事件を追う。
タイトルは「カラマゾフの兄弟」から。
読んでいて寒くなる事件。
「復帰する朝」
レストランオーナーの女性が殺された。
仙道はこの事件を、ホテル勤務の女性から依頼される。
彼女の妹は、この件で2回事情聴取されている。
マスコミからも追いかけられているという。
しかし、報道陣はすでに去った後。
姉妹に何があったのか。
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佐々木の作品は、「制服捜査」以来2冊目。
質の高さはさすが。人の暗部もよく描かれている。
休職中の刑事が事件を追うという内容。
「火車」(宮部みゆき)を思い出した。
警察は万能ではない。
どこまで事件を解明できるのかは刑事の質による。
巻末の解説によると、佐々木は北海道の地方都市を描きたかったとのこと。
だからこそ、休職中の仙道が必要だった。
この内容なら、直木賞は妥当。多くのファンがいるのも納得。
ただ、別の作品で受賞してもおかしくはない。
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本「廃墟に乞う」
『廃墟に乞う』佐々木譲
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佐々木譲はだいぶ前から読んでいるものです。最近でこそ警察小説の勇となっていますが、初期の戦時スパイ小説のほうが私は好きです。
コメントありがとうございます。
TBは、こちらから送る場合でもダメなことがあります。
困ったものです。
戦時スパイ小説は、残念なことにまだ読んでいません。
近い将来、読むことになるでしょう。