2013年05月07日

「チヨ子」宮部みゆき

今まで収録されなかった短編を集めた本。
「初期の宮部みゆき」が好きなら楽しめる内容。
   
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「雪娘」

小学校の同級生4人が32歳になって集まる。
話題は殺されたユキコのことに。

結構ブラックな内容。この結末は読めなかった。
どのくらいの読者が予想できていたのだろうか。

「オモチャ」

玩具店の2階に、夜になると首吊りのロープが見えるという。
その店では、おばあさんが2ヶ月前に亡くなっていた。

宮部は幽霊が好きなんだなあ。終わり方がすごく彼女らしい。
実は噂をする人が最もブラックなんじゃないか。
寂れてきた商店街に焦点を当てるのも、宮部らしい視点。

「チヨ子」

バイトでぬいぐるみの中に入って風船を配る女子学生。
古いぬいぐるみに入ると、その人が大切だったものに見えるのだった。

まさに宮部らしい作品。
普通の人間にしか見えない母と息子のあたりもよくできている。

背中に見えた爪の生えた手。
ファンタジーだけどブラックな部分を残している。

宮部はこの作品を、ぬいぐるみを着て朗読したそうだ。
写真で紹介されていたけど、興味深い試み。

「いしまくら」

ノーパンの幽霊が出てくるという噂が広まる。
その噂は、若い女性の遺体が厳寒の1月に池で見つかるという事件に端を発していた。

これも噂にまつわる作品。
噂で人生が壊される人って、どこくらいいるのだろう。

この作品が新鮮なのは、主人公が娘を持つ父親だということ。
宮部が描く中年の男性像は、どこかドロドロ感がない。

「聖痕」

12年前、14歳の少年が実母と内縁の夫を殺した。
その後も担任の女性教師を人質に取る事件を起こした。
彼はネットで教祖のように扱われる。

少年が起こした事件とネットの世界。
これもブラックな宮部らしい作品。この作品だけ新しい。

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「宮部は初期の頃が好き」という読者は多いはず。
私もそのうちの一人だ。

「理由」や「模倣犯」は洗練された宮部。「小暮写眞館」もそうだった。
地下街の雨」や「心とろかすような」といった初期の短編集を思い出す。

それもそのはず。
1999年から始まり、2010年の作品も収録している。

「宮部は変わった」という評価の読者は多いのだろうか。
漏れた作品がまだあるのなら、こうした本でまとめて出してほしい。

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