2013年04月19日

「制服捜査」佐々木譲

駐在所勤務となった警官から見た捜査を描く連作短編集。
横山秀夫とは違った警察官の視点。07年「このミス」第2位。
   
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「逸脱」

札幌で盗犯係や強行犯係をしていた川久保篤。
異動で慣れない田舎の駐在となる。

拳銃摘発の稲葉警部が起こした数々の不祥事。
そのために、無理な異動が道警では行われた。

行方不明になった少年と、バイク事故。
これからは、警察が出す数字を疑ってかかろう。

息子を失った母親は、今後どうなるのだろう。
死ぬまで警察には不信感を持つに違いない。

「遺恨」

ある家で飼っていた犬が、ショットガンで撃ち殺された。
事件のエスカレートを気にした川久保は、情報を集める。

中国人を研修生として使っていた牧場で、男が殺された。
研修生3人は姿が見えない。

「割れガラス」

少年を狙った恐喝の現場に居合わせた大工。
彼には傷害の前科があった。

割れ窓理論は、数年前から知られるようになった。
しかしこの作品に出てくる使われ方はどう考えてもおかしい。

「感知器」

今度は連続放火事件。
長嶺という刑事が捜査のため現地にやってくる。

無事に事件解決とはならないところが、この作家の力量。
事件がどこまで解決できるか、それは刑事の感知器しだい。

「仮装祭り」

13年前に起きた少女失踪事件。
そして、似た失踪が夏祭りの夜に起きる。

祭りで盛り上がる雰囲気と、誘拐事件だという臨場感の差。
このギャップが実に新鮮。

ギャップという点なら、地元住民と別荘族の摩擦。
そして警察に反感を持った住民たちとの関係も見事に描いている。

この話も、警察が数字をどう扱っているかという点を浮き彫りにしている。
報告がないというのは、決して安心できることではない。

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川久保は、妻と娘を札幌に置いて志茂別駐在所に単身赴任。
元郵便局員で事情通の男に協力してもらい、地元で起きる事件の真相を探る。

といっても、川久保は刑事ではなく駐在。
タイトル通り、制服での捜査はありえない。

この世には、「事件として扱われない事件」がある。
そう考えると、警察を見る目も変わる。

彼らも単なる公務員。
減点主義で、面倒なことはしたくない。

恥ずかしながら、佐々木譲の作品は初めて。
この密度の濃さなら、もっと読んでみたい。

次に読むとしたら、この作品か。
   
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北海道新聞だけでなく、こうした作品も道警叩きとして記憶されるのだろう。
もちろん裏金の存在は看過できないけれども。

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