児童擁護施設を舞台にした連作短編集。
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「愛生園」
中学生の浅田陽一が語る。彼の父親はギャンブル三昧。
その挙句に無免許・飲酒運転のバイクで事故死。
園には新入りの牧浦郷治が来る。ゴウジは食べられることがうれしい。
歯医者ですら喜んで行くゴウジがあまりに痛い。
父親に性技を仕込まれた美優のことを考えると悲しい。
その技を浅田にしてしまう場面は気持ち悪くなった。
「サッカーしたい」
宮本兄弟は、父親がヤクザを鉄パイプで半身不随にさせ刑務所へ。
母親は、両親からも「公衆便所」と呼ばれた。
園でチームを組み、サッカー大会に出ることになった。
サッカーが得意の兄弟は、優勝を目指す。
もし私が対戦相手だったら。美優のことを揶揄したかもしれない。
単に自分は運がよかっただけで園にいる子と変わらない人間なのに。
「神様のいるところ」
前川裕貴は母と二人暮しだった。しかし母は殺される。
園に来た裕貴は、神父から性的虐待を受ける。
アメリカなどいくつかの国でカトリックの性的虐待が発覚した。
実際に日本で虐待事件が起きていないとは思えない。
「内緒だよ」
浅田再び。
飯場の生活で、リョウちゃんに出会う。
「カモメたちの歌」
前川裕貴再び。
キリスト教を深く学ぶべく、大学へ進むことになった。
「ステンドグラス」
元お嬢様の谷本理奈。父親の会社が倒産し、園に来た。
両親は自殺。預けられた家では妹のように馴染めない。
「お披露目会」
宮本AB、再び登場。
住民を招く園の行事で劇を披露することに。
昨年の失敗を反省し、「王子と乞食」を選ぶ。
入れ替わる主役はもちろん宮本兄弟。
久里浜帰りだと噂の黒木。大原シスターがいいキャラ。
本番ではアドリブが飛び出す。
「ホームカミングデイ」
中学卒業後、園を出た浅田。すし屋の寮に入る。
ある日、職場の先輩から園で詐欺事件が起きたことを知らされる。
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「やっぱり」と思ったのが神父の性的虐待。
今や、カトリックと性的虐待はセットなのか。
虐待を受けた子は、次の世代にも影響が及ぶ可能性がある。
世界的な規模で起きている虐待は今だけの問題ではない。
ゴウジのように、園での生活が楽しいと感じる子は多いのだろう。
この世に神はいないのか。
もしいたとしたら、浅田の言う通り神ではなく悪魔なのだろう。
さまざまな事情で愛生園に来た子たち。
たくましく生きる、彼らのひねくれた視線も真剣に読んだ。
厳しい現実が描かれているものの、これは読んでよかった本。
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