2013年03月19日

「人質の朗読会」小川洋子

日本の裏側で起きた人質事件。
難航する交渉の間、人質たちは朗読会を開いた。
   

今まで小川の作品といえば。
博士の愛した数式」や芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」を読んできた。

この作品を読んで思い出したのが在ペルー日本大使公邸占拠事件
小川もそうなのかもしれない。

この作品でも政府は強行突入を選択。
犯人グループは全員射殺されたが、人質8人も全員が死亡した。

「第一夜 杖」

鉄工所の若い工員は、ブランコで足を負傷した。
以前からこの鉄工所が気になっていた女性は彼のために枝を切って杖を作る。

彼女が23歳の時、事故に遭った。
意識不明の中で、彼女は工員と再会する。

「第二夜 やまびこビスケット」

女性が高卒で就職した先は、ビスケット製造する会社だった。
嫌われ者の大家さんに不良品のビスケットを差し入れするようになる。

「第三夜 B談話室」

公民館のB談話室。
そこで行われていた危機言語の集いに参加した男。
このエピソードはミステリーになっている。

「第四夜 冬眠中のヤマネ」

私立中学に合格した少年。
彼は変わったぬいぐるみを売る老人と出会う。

老人と同じく、片目の無いぬいぐるみたち。
祭りで老人を背負い、走る少年。

「第五夜 コンソメスープ名人」

8歳の時、留守番することになった少年。
そこに現れたのは、台所を貸してほしいと頼む女性だった。
彼女はコンソメスープを作る。

「第六夜 槍投げの青年」

主人を病気で失った女性は貿易会社に勤務していた。
通勤途中、彼女は長い何かをを持った青年と出会う。

会社を休んで彼の後を追う。彼は槍投げの選手だった。
非日常を経験することで、今までと違う自分がいることを実感する。

「第七夜 死んだおばあさん」

初めて「死んだおばあさんに似ている」と言われたのは20歳の時。
その後も同じことを何度も言われるようになった。

「第八夜 花束」

大学を中退した男はスーツ販売のアルバイトをしていた。
彼が辞める際、花束を持ってきたのは、お得意さんの葬儀屋だった。

「第九夜 ハキリアリ」

今度は若い特殊部隊の隊員。
差し入れの中に盗聴器を仕掛けたが、それを聴くのが彼の役目。

彼が初めて出会った外国人は日本人だった。
その日本人は3人。ハキリアリの研究に来ていた。
ラジオを聴きたいとのこと。彼らの目的はノーベル賞のスピーチだった。

***** ***** ***** *****

人は、閉ざされた環境で記録したがる。
それは、存在証明をするということが人の本能だからか。

以前、高校の国語教師は戦争中の兵士が戦地で文字を渇望すると話した。
戦争中なので、本はもちろんない。

そこで彼らが読んだのは、薬の説明書だったという。
それを何度も暗記するまで読む兵士。

もし私が人質となったら。
同じように朗読会を開くのだろうか。

二つだけ苦言(疑問)を。
生きて帰れないかも知れない彼らが、未来を語らないのはどうしてか。

ひとりくらい、自分の10年後を朗読してもよかったのではないか。
もしくは、帰国して何をするかなど。

もうひとつは、各朗読の文体が似ているということ。
話の内容だけではなく、文体も変えて表現してほしかった。

 読書のページ(書評)

***********************
関連記事

「人質の朗読会」感想 小川洋子

「人質の朗読会」小川洋子

語られる話  

『人質の朗読会』小川洋子(書評)

読書録:人質の朗読会 (小川洋子)

人質の朗読会 (小川洋子)

***********************

*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。 
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。


posted by りゅうちゃんミストラル at 17:31| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

語られる話
Excerpt: 小説「人質の朗読会」を読みました。 著者は 小川 洋子 ゲリラの人質となり亡くなった日本人達 囚われの日々の中でそれぞれ印象に残った思い出を書き それを朗読しあっていた その9つの話 朗読話 あ..
Weblog: 笑う社会人の生活
Tracked: 2013-03-19 23:58