受賞以前に書かれた3つの短編を収録。
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「袋小路の男」
主人公は片想いする女性。
相手は高校の先輩で、勉強はできるが何故か二浪する。
自称作家の先輩だが、新人賞の佳作1回きりでぱっとしない。
現時はジャズバーでのバイトで生活。
二人が恋人になることはなく、片想いはそのまま。
そればかりか彼女の名前さえ覚えようとはしない。
約束しても忘れられてしまうくらい身勝手。
「小田切孝の言い分」
今度は小田切の考えを含め、三人称で描かれている。
ここで、女性の名前が大谷日向子だと初めて出てくる。
日向子は上司の前原と寝る。
避妊に失敗して小田切の車で中絶するため病院へ向かう。
同志でもない関係がよく続くものだ。
非婚時代にありがちなのか。
「アーリオオーリオ」
40の独身男、哲は清掃工場勤務。
星が好きで、高校時代の友人の車で天文台に通う。
ある日、中学3年の姪(兄の娘)とプラネタリウムに行く。
その後、イタリアンレストランで食事。哲は毎日のようにパスタを食べていた。
メールはしない哲は姪と文通を始める。
ところが兄から、姪が受験生だということで文通を禁止される。
オリオン座の一等星、ベテルギウスが消滅してしまうかもしれない話。
これはあちこちでちょっとした話題となった。
手紙で哲が書いていたように、すでに消滅してしまっているのかもしれない。
だとすれば、我々は過去の光を見ているということ。
逆に、消滅は100年後かもしれない。
星の寿命は、人に比べてとても長いもの。
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作家がどのような軌跡を描いてきたか。
こうした作品たちを読むのは意味がある。
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