2013年02月23日

「空中ブランコ」奥田英朗

イン・ザ・プール」の続編。変人で幼稚な神経科の医師、伊良部が帰ってきた。
直木賞受賞作。
   
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「空中ブランコ」

患者はサーカス団員でもエースの公平。
伊良部の診療室にやってくるのは変わった職業が多いが、彼もまた同じ。

このところ、公平は空中ブランコで落下ばかりしている。
閉鎖的な環境の中で、苦しむ公平。

逆に伊良部はその空中ブランコに素人ながら挑む。
恐怖心が無い人というのはある意味幸せだ。

サーカスと縁がないサラリーマンでも、このエピソードは救いになったはず。
どの分野でも、バリアを張っている人は多い。

「ハリネズミ」

患者はヤクザで若頭の誠司。尖端恐怖症に苦しむ。
自分を強く見せるために、どこかで無理をしている。

その無理が、症状として現れる。
手打ちをした相手のヤクザもライナス症候群だった。

「義父のヅラ」

患者は医学部講師の池山。破壊衝動が激しい。
義父のカツラが気になって仕方がない。

金王神社などにイタズラするのは笑った。
伊良部のような天真爛漫なら神経科の医者はほとんどが廃業するはず。

どの患者にも言えるが、我慢が病気につながる。
素直に自分を出す伊良部がうらやましい。でもゲップは駄目だよ。

「ホットコーナー」

患者はプロ野球選手の真一。守備位置はサード。
同じポジションに期待の鈴木が入団し、かなり気になる。
真一は突如として送球が乱れてしまう。

このエピソードははっきりと結末が描かれていない。
だが希望が残る終わり方に読者は納得しているはず。

「女流作家」

患者は小説家の星山。
以前に出した作品が気になる。嘔吐も彼女を苦しめる。

救いは看護士のマユミが見せた素直な一面。
かつて星山が全力を傾けた「あした」を読んで感動する。

作家は何のために存在しているのか。
このエピソードは作者である奥田の本音?

***** ***** ***** *****

現代社会は人が疲れる時代でもある。
一見して五歳児のような神経科医、伊良部が頼られるというのは不幸なこと。

みんなで伊良部の真似をしたら、社会は破滅するに違いない。
でも患者は救われるだろう。

この作品、結構古い。
だがこうした作品を探して読むのは「周回遅れの読者」にとって大きな喜び。
これからも無理せず周回遅れを続けよう。

 読書のページ(書評)

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