2013年03月14日

「天使はモップを持って」近藤史恵

サクリファイス」、「エデン」、「サヴァイヴ」のシリーズで知られる近藤史恵。
ビル清掃をするキリコが謎を解明する短編集。ネタばれあり。
   

主人公は新入社員の大介。
会社のビルを1人で掃除しているキリコと出会う。

キリコはまだ10代で、なかなかのお洒落。
何より鋭い勘の持ち主。

「オペレータールームの怪」

大介の書類がなくなる。
先輩が残業して事なきを得るが、再び同じような出来事が起きる。

犯人は誰か。どうしてシュレッダーを使わなかったのか。
キリコが謎を解く。

「ピクルスが見ていた」

会社に出入りしていた保険のおばちゃんが転落死する。
誰かに突き落とされたらしい。

誰が殺したのか。社内で何があったのか。
真実は意外なところに隠されていた。

「心のしまい場所」

同僚の結婚式。
何故か引き出物がキャンセルされていた。
怪しげな商法が会社内にはびこる。

「ダイエット狂想曲」

会社近くに出来たクッキーの美味しい店のせいで、みんなで体重増加。
そこでダイエットをすることに。

「ロッカールームのひよこ」

ビルの中に何故かヒヨコがいた。
セクハラで知られる上司との関係は。

「桃色のパンダ」

課長が娘のために用意した桃色パンダのぬいぐるみ。
誰かによって引き裂かれていた。

「シンデレラ」

何者かにより、トイレがインクで汚される事件が起きた。
キリコは掃除するが、またしても汚される。

「史上最悪のヒーロー」

大介は結婚した。
奥さんに、祖母の介護を任せたことを重荷に感じていた。

このエピソードはミステリーしている。
介護の問題は切実だ。でも読者はそう簡単に騙されないよ。

***** ***** ***** *****

あとがきによると、近藤は作家の収入が少なかった時代に清掃業をしていたそうだ。
なるほど、実体験から出た作品だったわけ。

「トイレの使い方を見れば、その会社の実情がわかる」
以前観た映画、「釣りバカ日誌」でそういう場面があった。
キリコはまさに会社を別の視点から見ている。

正直、ミステリーとしては稚拙。
だが作家としての原点がよくわかる。

解説は新井素子。
久しぶりに彼女の文章を読んだ。

この本、シリーズになっている。
次はこれ。
   

 読書のページ(書評)

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「モップの精は深夜に現れる」「天使はモップを持って」感想  

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posted by りゅうちゃんミストラル at 07:10| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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