06年の本屋大賞2位。大賞は「東京タワー」(リリー・フランキー)。
角川文庫 お56−1【1000円以上送料無料】サウスバウンド 上/奥田英朗 |
奥田の作品は、今まで2冊読んでいる。
「イン・ザ・プール」と「空中ブランコ」だ。
彼の作品はとにかく読みやすい。
この作品など、小学生でも読めそうだ。
二郎の家は変わっていた。
父親がとにかく反抗的でいつも家にいる。
年金の支払いも拒否。
二郎と妹の桃子にも学校へ行かなくていいと言い放つ。
さらには家庭訪問に来た南先生と議論したがる。
(大学を出て2年の教諭が6年生の担任になることは考えにくい)
天皇制や修学旅行について大上段に構え批判する親はどれだけいるのか。
この父は一応、作家ということになっているが、母が経営する喫茶店で生活している。
ところが、二郎の家に居候していた過激派のアキラおじさんが人を殺してしまう。
父も暴れて大家から出て行くよう言われる。
この際、アキラおじさんは二郎を殺人事件に巻き込んで心が痛まなかったのか。
二郎自身もトラウマにならなかったのか。とても気になる。
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下巻では、姉を除く家族が西表島で新しい生活を始める。
しかしここでも波乱が待っていた。
角川文庫 お56−2【1000円以上送料無料】サウスバウンド 下/奥田英朗 |
父親が英雄の子孫(実際は怪しい)ということで、島では歓迎される。
電気はないが、食べ物は住民が持ってきてくれる。
このあたりは南北の違いこそあるがドラマ「北の国から」のよう。
実際、五郎がドトと呼ばれる男(唐十郎)と「結」の話をする。
そんなドラマの場面を思い出した。
だが二郎の一家が住んでいる土地は、リゾートホテル建設予定地。
元過激派の父は、開発業者と地元議員に真っ向から対決する。
不倫していた姉も島に来て、精神が開放されたように振舞う。
放浪していたカナダ人も父と行動を共にする。そして大爆発。
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確かに面白い。軽いテンポで読者を飽きさせない。
二郎が母の実家でご馳走を急いで食べ、その後ゲロを吐く場面は大笑い。
日ごろ疑問に感じていることを口に出してしまう父親。
彼を批判するのは簡単なこと。
だが、批判した人はどんな生き方をしているのだろう。
まさか「批判のための批判」で終わりなのか。
以前から本屋大賞は単純なストーリーが上位に来る。
答えをすぐに求める読者に迎合しすぎではないか。
「本屋が売りたい本」ではなく「本屋が売りやすい本」を選んでないか。
これからもこの路線は継続するのか。素朴な疑問だ。
読書のページ(書評)
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