第129回直木賞受賞作。間違いなく秀作!
【送料無料】星々の舟 [ 村山由佳 ] |
「雪虫」
次男、暁を中心としたエピソード。
大学生の時、バイクで家を飛び出した暁。
北海道でアンティーク以前の古品を商う。
結婚し、すでに子もいる。
各人物の紹介、「氷点」(三浦綾子)とは違った出生の秘密。
そして妹を襲った事件。息苦しい話の始まりだ。
「子どもの神様」
次は美希の話。
同じ件を別の視点から見せることで、話が深くなる。
湊かなえが用いる手法のプロトタイプと言っていい。
相原との不倫、そして事故。美希は欲しがらない。
生まれた環境で、人の生き方は大きく変わる。
「ひとりしずか」
今度は暁の妹、紗恵の話。
性の対象として扱われる彼女。
村山らしさがよく出ているエピソード。
浪人生、田辺の事件が再び出てくるのは読んでいて苦しかった。
もし私が紗恵だったら。
男性不振に陥り、清太郎と付き合うことはできなかったと思う。
女性読者はどう感じたのか。
「青葉闇」
重之の長男、貢の話。
職場の後輩、盗癖のある真奈美と不倫している。
家に居づらく、家庭菜園用の畑を探す貢。
千葉で格安の土地を見つける。
「雲の澪」
貢の娘、マンガを描く聡美の話。
帰国子女の加奈子と、健介が付き合う。
かつて聡美をいじめた女が帰ってきた。
重之に事情を話す聡美。この場面はとても胸が痛んだ。
重之が言う「何のために謝るか」という言葉は重い。
そして次のエピソードに大きくつながる。
「名の木散る」
戦友からの電話に出ない重之の戦争体験が語られる。
墓参りで暁と久しぶりに会う。
足を踏んだ者と踏まれた者のたとえ。
忘れたくないものだ。
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どうして今までこの本を読まなかったのか。
自分の目が節穴だということがよくわかった。
直木賞に選ばれたのは、妥当な選択。
もし落選していたら、選考委員たちこそ目が節穴だった。
読書のページ(書評)
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