地味だが内容が濃く、じっくりと読んだ。
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「トンネル鏡」
日本海にある実家と東京を往復する主人公の男。
トンネルが多い区間。
大学を出て、結婚し、母を東京へ呼んで同居する。
しかし嫁との仲が悪く、母は元の家に戻る。
人の半生を効果的に描写した作品。作者の力量がよくわかる。
冒頭のトンネルについては「海岸列車」(宮本輝)を思い出した。
「金魚」
妻の七恵を喪い、精神神経科に通う男。
祭りで少女から金魚を渡される。
いつ、この主人公と同じ境遇になるかわからない。
そう考えると恐ろしい。
「上海租界の魔術師」
93で亡くなった祖父はマジシャンだった。
孫の要は不登校になる。
祖父のトランクを継承する要。
彼にも上海で恋愛の思い出があった。
「レシピ」
夫が定年退職する。
最後の出勤日、妻の里瑠子は、精一杯のご馳走を作る。
世の旦那方、悪いことは言わない。たまには奥さんの料理を褒めなよ。
「自分は口下手だから」は言い訳にはならない。
「胡瓜の馬」
盆休み、田舎で同窓会に出た男。
過去と現在が交錯し、話に奥行きが出ている。
お盆の牛と馬は、「くちぶえ番長」(重松清)でも出てきた。
「チョコチップミントをダブルで」
康介は妻と別れ、娘と会うのも年一回だけ。
ディズニーシーに行くため予習する。
ところが娘の希望は近場の遊園地。
父と子はそこでアイスを食べる。
「ゴミ屋敷モノクローム」
渡辺は市の生活環境課職員。
苦情のあったゴミ屋敷に住む老婆と交渉する。
老婆に何があったのか。読者に考えさせる作品。
「月の上の観覧車」
夜、営業が終わった遊園地で一人観覧車に乗る男。
社長の彼は、今までの出来事を思い出す。
息子の久生は「トキオ」(東野圭吾)を思い出した。
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まさしく「人に歴史あり」の短編集。
構成の上手さで各エピソードに深みが出ている。
登場人物たちの喪失感や悲しみ。
人生はやり直しかきかないことなど教訓は多い。
読書のページ(書評)
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