テーマが重くてボディーブローのような作品。
【送料無料】イワン・イリッチの死改版 [ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ ] |
恥ずかしながら、私は今までトルストイの作品を読んだことがなかった。
「典子の生きかた」(伊藤整)にこの作品が詳しく紹介されていたので、今回読んだ。
人は必ず死ぬ。
ロシアの文豪が描く人の死。
父親と同じく官吏の道を行くイワン。
知事の補佐官から検事、判事と昇進を続ける。
この物語は現代の日本にも通じる。
こんなセリフを耳にしたことはないだろうか。
「家族に迷惑をかけないよう死にたい。できれば苦しまずに」
ところが実際は家族を憎み、孤独と不信感いっぱいで死ぬ人もいる。
死を前に、人は聖人君子ではいられないもの。
それまで順風満帆だったイワンの人生。
結婚後、妻との関係がおかしくなる。
高い地位を手に入れたイワンだったが、新居の内装作業中に落ち、わき腹を強打。
軽症かと思われたが、患部が悪化する。
複数の医師が診察しても、どこが悪いのかすら分からない。
自分の死を悟ったイワンは、自分の死が家族の自由と幸福をもたらすと考える。
そして彼は最期の3日間を喚きながら死ぬ。
死を前に、彼が思い出すのは子どもの頃のこと。
食べ物やおもちゃなどが思い浮かぶ。
この部分で思い出したのは、映画「市民ケーン」。
新聞王が死ぬ前に残した言葉は「バラのつぼみ」だった。
日本で死を見つめた小説として思い出すのは、「その日のまえに」(重松清)。
だが、ガン死という現実を描きながら、重松の作品には希望が残されている。
その意味で、イワンとはまったく違う。
村上春樹は作品の中でこう述べている。
「死は 生の対極としてではなく、その一部として存在している」
(「ノルウェイの森」から引用)
前から何度も書いているが、文学の大きなテーマは「生きるとは何か」。
そして「人とは何か」ということ。
その意味で言うなら死を見つめたこの作品は、まさしく文学。
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