疑問点が多い。村上龍は終わったのか。
【送料無料】櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている。 [ 村上龍 ] |
この本は日本では珍しい横書き。
素人っぽい下手な花の写真は著者によるものだ。
彼の意見には賛成できる部分も多い。
だがその反面、疑問もある。
たとえば147ページ。
「綿矢りさと金原ひとみは芥川賞受賞後も誠実な仕事をしているが」
(本文より引用)
本気かこの人。
私の評価はまったく違っている。
綿矢りさなら、「勝手にふるえてろ」を読んだ。
だが、彼女は自分の持ち味を生かしていない。
金原ひとみは「アッシュベイビー」を読んだ。
こちらも紙が無駄なんじゃないかというくらいの駄作。
どこが「誠実な仕事」なのか。私にはまったく理解できない。
芥川賞の意味そのものが批判される現在。
選考委員によって文学は破壊されている。
震災についても疑問点が多い。
「首都圏3000万人の避難も考えた」というのを「恥ずかしい」と批判。
実際にはそんな大規模な避難など不可能だというのが村上の根拠。
逆だろう。
無理だからこそ「考えた」で終わる。
確かに震災の政府対応では問題点が多くある。
だが「考えた」ということが、果たして批判すべきことなのか。
震災後、盛んに言われるようになった「絆」。
村上はこれも批判しているが、これはすでに多くの人が指摘している。
本書で村上が改めて言及する必要があるのかどうか疑問。
村上自身は原発についてどう考えているのか。
即時廃止か存続か、またはそれ以外なのかをはっきりと表明してほしかった。
それこそまさに「村上独自の答」になるのではないのか。
それとも批判が怖くて書けないのか。そんなことはあるまい。
震災に関する「原罪」は、私も何度か考えた。
石原慎太郎閣下による「津波は天罰」発言。
「ペスト」(カミュ)の記事でも触れている。
芥川賞の選考委員として石原閣下の近くにいたであろう村上。
この件について議論はしたのだろうか。
読書のページ(書評)
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