2012年12月23日

「海の底」有川浩

横須賀に人を襲う巨大なザリガニが多数出現。
警察と自衛隊はこれを撃退すべく奮闘する。
   
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四月の桜祭りで賑わう米軍横須賀基地。
そこに巨大なザリガニが上陸し、人を喰う。

潜水艦に避難した若手幹部自衛官二人と13人の子どもたち。
紅一点の高校生が生理になるところは、まさに女性作家ならでは。

巨大ザリガニと盾で戦う機動隊は死者20名以上。
1000人以上が重傷を負う。

「どうして自衛隊がすぐに出てきて駆除しないのか?」という疑問。
日本の特殊事情を、素朴な疑問が突き刺す。

考えてみれば、福島原発事故の対応も凄まじくお粗末だった。
実際、有事の場合は現場で血が流れていても政治家は頼りになるまい。

読んでいて不覚にも泣いてしまったのは、話せなかった翔が叫ぶ場面。
この物語の山場と言えるだろう。

それにしても夏木の子どもじみた態度!
もう少し素直になれないものなんだろうか。

この話は「クジラの彼」に続く。
夏木の困った顔を想像したければスピンオフを読むべし。

「空の中」より、人がリアルに死ぬ。
痛みを描いた点では、私は有川を評価したい。

逆に気に入らなかったのが、夏と冬に分かれた潜水艦争奪ゲーム。
シミュレーションと知らなかった隊員の存在が、日本の平和ボケを証明している。

銃を持っていなくても、ナイフで侵入者を殺してしまうかもしれない。
有事を笑いにするのにも程があるというものだ。

おまけ  作者が物語の舞台となった横須賀を取材している。
さすがにドンペリはなかった模様(笑)。

「海の底」の奥底(「海の底」取材記 by 有川 浩)

やはり有川、自衛隊が好きなんだねえ。

 読書のページ(書評)

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