まさしく「人に歴史あり」の作品。
【送料無料】誰にも書ける一冊の本 [ 荻原浩 ] |
この作品、広告製作会社経営の主人公と父親が交互に登場。
話に奥行きを持たせている。
入院中の父親、命が危ういと母から連絡が来る。
急いで田舎に帰る主人公。母親から父の原稿を渡される。
主人公は勤務の合間に小説を書いた。
2冊が世に出たものの、作家として大成せず。
しかも、家族は創作の犠牲となり妻とは別居。離婚につながる。
会津で生まれ、北海道に入植した父の一家。
熊の爪で背中に大怪我を負った。
「熊にやられた」ということを信じてもらえない父親。
いつしか「農業機械で負った傷」ということに。
学生だったが、世の情勢に押され空軍に志願する。
戦争の部分は、「永遠の0」(百田尚樹)を思い出した。
終戦後、炭鉱で事務員として勤務する父親。
時代は石炭から石油へ。大規模な人員削減に抵抗する父。
そのために左遷されてしまう。
この作品で深く印象に残った部分はこれ。
「人生とは、何をなしたかではない。何をなそうとしたかだ」
(本文131ページより引用)
本としてこの世に出ている作品は、ほんの一部でしかない。
最初にも書いたが、誰にも物語がある。
100人いれば100の物語が。
1000人なら同じく1000の話が。
もちろん主人公だけでなく、読者の親も同じ。
この作品をきっかけに、どのくらいの物語が発掘されるか。
もし、まったくきっかけにならなければ。
この作品はただの娯楽で終わる。
文学は海辺で遊ぶ子どもと似ている。
美しい貝の欠片を見つけて喜ぶ子ども。
しかし砂の下や海の底にはすごい宝が眠るのを知らない。
このたとえ、ある科学者の言葉だがいろんな分野で同じことが言える。
読書のページ(書評)
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