2012年12月09日

「ぽろぽろドール」豊島ミホ

人形にまつわる短編集。まず表紙が美しい。
多くのエピソードを興味深く読めた。
   
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彼女の名前は、「Re-born はじまりの一歩」で知った。  
単独の作品としては、「リリイの籠」以来2冊目。

「ぽろぽろドール」

血のつながらないおばさんにもらった人形。
叩くと涙を流す。

偽の告白にセクハラ教師。
女性であることは果たして損なのかどうか。

この作品の主人公かすみははっきり損だと考えている。
青くて鋭い時代を描く作者の力量がよくわかる作品。

「手のひらの中のやわらかな星」

咲子は田舎の中学から進学校に進む。
そこには洗練された生徒が多くいた。

咲子が目をつけたのは、華やかな冬馬。
学園祭で演劇の主役を演じる冬馬のために、咲子は衣装を担当する。

この作品では、人形はもちろん容姿というのが大きなテーマになっている。
読んでいて「私もそうだった!」と感じる読者は多いに違いない。

「めざめる五月」

6年生の松野は、家の建て替えにより二ヶ月間限定で転校する。
隣のクラスにいた坪内君に声をかけられ、彼の家に行く。

そこには自分そっくりの人形があった。
坪内君はその人形を恋人のように扱っていた。

幼い中にも芽生えた性を描いた作品。
女性作家でなければこの作品はまったく違ったものになっていただろう。

「さなぎのままで」

製糸工場の跡継ぎである坊ちゃん。
はつは彼の妾になることを夢見ていた。

やがて坊ちゃんは戦死、工場はつぶれる。
はつはマネキンを作る工場で働くようになる。

以下の表現が秀逸。

「後悔という感情はお酒に似ていて、甘く繰り返すほどに味が深くなり、
ついにはそれなしではいられなくなる。生きる体力を奪ってしまう」

(太字部分、本文より引用)

今度マネキンを見かけたら、それが誰かに似ていないかどうか。
確かめてしまうかもしれない。
坊ちゃんに似たマネキンを作るはつの情念が見えるような作品。

「きみのいない夜には」

大学院生の拓と同棲している大学四年の祐子。
ネットオークションで「沙羅子」という人形を買う。

結末が意外。
このエピソードはもちろん人形が出てくる。
だが、それだけではなくネットという側面も描かれている。

「僕が人形と眠るまで」

14歳の時、自動車事故で端正な顔を失ったあきら。
大学に進み、秋葉原で大きな人形と出会う。

15万円もするその人形の顔。
中学時代付き合っていた清乃に似ていた。

喪失する悲しみというものを、女性作家独自の視点で描いている。
この作品については、いろんな側面から物事を考えさせられる。

***** ***** *****

読んでよかったと素直に思う。
この作家、完成されてはいないが作品を読む価値はある。

 読書のページ(書評)

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