人の奥底にある闇を描いている。
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主人公は刑務官の斉藤。
国鉄職員として、青函連絡船に乗務していた。
だが青函トンネル開通で連絡船の廃止が決まる。
転職すべく斉藤は多くの試験を受け、法務省だけ受かった。
函館の少年刑務所が、斉藤の新たな職場。
そこに傷害事件の受刑者として来たのがかつての同級生、花井。
斉藤は、花井に陰惨ないじめを受けた経験を忘れない。
花井はまじめな態度の陰で、かつてのようないじめを行う。
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芥川賞作品らしく、整った文章が続く。
だが、「船を運転」(35ページ)など抜けた部分もある。
(どうして「操船」とか言葉を選ばなかったのか、謎だ)
文学の大きなテーマ。
その中には「人とは何か」「生きるとはどんなことか」というのがある。
この作品は、その意味でかなり文学している。
選考委員が選ぶのもよく理解できる内容。
かつてのマネージャーによる、連絡船からの飛び降り自殺。
漁に出た父親が事故で亡くなり、花井に「密漁」と侮辱されたこと。
そして、連絡船の最終便が出る。斉藤もかつての制服を着て船に。
静は函館に戻れないよう、この船に乗る。
多くの人を見ているはずの刑務官が、花井の態度に騙される。
人の内面にある狂気というものは、見抜くのがとても難しい。
加えて、斉藤の内面にあるイジメでのトラウマ。
こうした内容を描けるのは流石。
とても暗くて湿った内容が最後まで続く。
だが、人を描くにはこのタイミングと暗さが必要。
読書のページ(書評)
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