「こんなのありえない!」と思いつつ、楽しんで読んだ。
【送料無料】優しい音楽 [ 瀬尾まいこ ] |
今まで瀬尾の作品は「戸村飯店青春100連発」、「卵の緒」などを読んできた。
「はずれ」の少ない作家だ。多くの読者に支持されている。
「優しい音楽」
駅で声をかけてきた女子大生とつきあうようになった男。
彼女は、何故か彼を両親に会わせようとはしない。それには秘密があった。
今度、公園などで下手な演奏をしている人がいたら。
何かドラマがあるのかもしれないという目で見るかも。
私は洋楽に詳しくない。クラプトンなんか聴いた記憶がない。
でもこの機会に聴いてみた。
もうひとつ気になったのが、兄に似た男と付き合うということ。
ましてや寝るというのは罪悪感がないものだろうか。
少なくとも私には考えられない。
だが、私自身は兄を失うという経験がない。
実際に千波の状況にならなければ、この点を語っても意味がない。
「考えられない」というのは、今の私だからこその想像でしかない。
***** ***** *****
「タイムラグ」
不倫相手の男から旅行する間、娘を預かって欲しいと頼まれた女。
二人で豪遊するはずが、何故か祖父の家に行くことに。
かなり無茶な設定。
でも、祖父の家で何故か熱弁を振るう彼女が面白かった。
佐奈は、この思い出を忘れないだろう。
もちろん、サツマイモも味とともに。
この話、大切なのがタイトルになっている遅れた時計。
女性の心情をよく表現している。瀬尾は、こうしたところが上手い。
***** ***** *****
「がらくた効果」
同棲中のはな子は、ガラクタばかり拾ってきてしまう。
年末に彼女が拾ってきたのは、なんとホームレスの佐々木さんだった。
これも、かなり無茶な設定。でも面白い。
元大学教授が「異物」として存在する。
駅伝の繰り上げスタートを「得」だと思う人も珍しい。
思わぬところで箱根駅伝は役に立っているんだなあ。
佐々木さんは人生の繰上げスタートで、どんなレースをしているのか。
物を拾ってくる話は、「福袋」(角田光代)でも出てきた。
(「イギー・ポップを聴いていますか」)
私も道に本が縛って置いてあると拾って読んだりする。
他人のことを批判できない。でも人は拾わない(笑)。
***** ***** *****
瀬尾はどこまで読者のことを計算して設定を考えているんだろう。
「話が破綻しない程度の無茶ぶり」を計算しているとしたら、恐ろしい作家だ。
読書のページ(書評)
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